貸金業の規制等に関する法律にいう「貸金業」の意義
貸金業の規制等に関する法律2条1項,貸金業の規制等に関する法律11条1項
判旨
貸金業法2条1項にいう「貸金業」とは、反復継続の意思の下に金銭の貸付け等を行うものをいい、営利目的や特別の設備の備付までは不要である。
問題の所在(論点)
貸金業法2条1項にいう「貸金業」の意義、とりわけ同条にいう「業として」行うといえるために、営利の目的や特別の設備の存在が必要とされるか。
規範
貸金業法2条1項にいう「貸金業」とは、反復継続の意思の下に金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介を行うものを指す。これに該当するためには、一個の独立した業態として行われることを要するが、営利を目的とすることや、店舗等の特別の設備を備えることまでは必要としないと解するのが相当である。
重要事実
被告人は、貸金業法11条1項に基づく登録を受けずに金銭の貸付けを行ったとして、無登録営業の罪に問われた。弁護人は、当該行為が「貸金業」に該当するためには、単なる反復継続の意思だけでなく、営利を目的としていることや、事務所や看板などの特別の設備を備えて一個の業態として活動していることが必要であると主張して上告した。
あてはめ
本件における貸付け行為について、被告人が反復継続の意思を持って金銭の貸付けを行っていた事実に照らせば、それが一個の業態として行われているといえる。弁護人が主張するような「営利目的」の有無や「特別の設備」の有無は、貸金業の定義を画する不可欠の要素ではない。したがって、これらの要素を欠いていたとしても、反復継続の意思が認められる以上、同法2条1項の「貸金業」に該当し、同法11条1項の登録義務を負うものと評価される。
事件番号: 昭和29(あ)57 / 裁判年月日: 昭和32年1月24日 / 結論: 棄却
貸金業等の取締に関する法律施行の際、現に貸金業を行つている者が、同法施行後従前からの貸金につきその条件を変更しまたはその支払期日を延期する等その貸金債権を準消費貸借に改めまたはその支払を延期する行為も、同条にいう「金銭の貸付」と解するのが相当である。
結論
被告人の行為は貸金業に該当し、無登録でこれを行うことは貸金業法11条1項に違反する。原判断は正当である。
実務上の射程
本判決は、行政法規上の「業として」の解釈指針を示すものである。司法試験においては、貸金業法に限らず、業規制の「業性」が問題となる場面で、営利性や設備性の要否を判断する際の比較対象として活用できる。特に、ヤミ金事案等の刑事罰の対象範囲を画定する基準として重要である。
事件番号: 昭和27(あ)2827 / 裁判年月日: 昭和29年9月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律における「貸金業」とは、反復継続の意思をもって金銭の貸付け又はその媒介を業として行うことを指し、不特定多数人を相手にする場合に限定されない。 第1 事案の概要:被告人は、貸金業等の取締に関する法律上の登録を受けずに、反復継続して金銭の貸付け等を行ったとして起訴された。弁護…
事件番号: 昭和27(あ)2189 / 裁判年月日: 昭和28年11月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律にいう「業として行う」とは、反復継続して金銭の貸付け等を行うことを指し、必ずしも営利の目的(利益を図ること)を必要としない。 第1 事案の概要:被告人が、貸金業等の取締に関する法律(現:貸金業法)の登録を受けずに金銭の貸付け等を行った。被告人側は、同法5条(現:貸金業法4…
事件番号: 昭和28(あ)2226 / 裁判年月日: 昭和28年9月10日 / 結論: 棄却
貸金業等の取締に関する法律二条にいわゆる貸金業とは反覆継続の意思を以て金銭の貸付又は金銭の貸借を媒介することを指すものであり、(昭和二六年(あ)二七〇二号、同二八年二月三日第三小法廷決定参照)、必ずしも所論のように「普段の収入の源泉となす意思を以て」それらの行為をなした場合に限るべきいわれはない。
事件番号: 昭和28(あ)2460 / 裁判年月日: 昭和29年4月8日 / 結論: 棄却
貸金業等の取締に関する法律にいわゆる「貸金業」とは、反覆継続して行う意思の下に金銭の貸付又は金銭貸借の媒介行為を行うことをいい、利を図ることはその要件でない。