愛媛県屋外広告物条例及び軽犯罪法の合憲性
憲法21条,愛媛県屋外広告物条例27条1号,愛媛県屋外広告物条例4条2項1号,愛媛県屋外広告物条例4条2項4号,軽犯罪法1条33号
判旨
屋外広告物条例等による広告物(ビラ)の貼付規制は、表現の自由(憲法21条1項)を侵害せず、同条項に照らし合憲である。公共の福祉に基づく合理的な制限として、特定の場所における広告物掲出の禁止や処罰は正当化される。
問題の所在(論点)
屋外広告物条例によるビラの貼付禁止および罰則規定、ならびに軽犯罪法1条33号前段(はり札の禁止)の規定が、憲法21条1項に違反するか。
規範
表現の自由といえども、公共の福祉のために必要かつ合理的な制限を受ける。特に、都市の美観風致を維持し、又は公衆に対する危害を防止するために、屋外広告物の表示方法や場所を規制し、これに違反した者を処罰する規定は、合理的な制限として憲法21条1項に違反しない。
重要事実
被告人が、愛媛県屋外広告物条例によって広告物の表示が禁止されている場所(電柱等)に、知事の許可を受けることなくビラを貼付した。これに対し、同条例違反(及び軽犯罪法1条33号前段違反)として起訴された。被告人は、当該規制が表現の自由を保障する憲法21条1項に違反すると主張して上告した。
あてはめ
判決文によれば、本件で適用された愛媛県屋外広告物条例および軽犯罪法の規定は、いずれも当裁判所の過去の判例(昭和43年12月18日大法廷判決、昭和45年6月17日大法廷判決)の趣旨に照らし、合憲であると判断される。美観風致の維持や安全確保という公共の利益を目的とした規制であり、表現活動そのものを絶対的に禁ずるものではなく、場所や態様の制限にとどまるため、表現の自由に対する許容された制限の範囲内にあるといえる。
事件番号: 昭和44(あ)893 / 裁判年月日: 昭和45年4月30日 / 結論: 棄却
昭和二四年高知県条例第三七号高知県屋外広告物取締条例三条、四条は、憲法二一条に違反しない。
結論
本件各規定は憲法21条1項に違反せず、これらを適用して被告人を処罰することも同条項に違反しない。
実務上の射程
屋外広告物条例に関する合憲性の判断枠組みとして活用できる。特に「ビラ貼り」という態様の表現活動に対し、都市美観や安全維持を目的とした場所的・態様的規制が「必要かつ合理的な制限」として肯定されることを示す。事案解決においては、規制の目的(美観維持等)と制限される権利(表現の自由)の比較衡量を示唆する射程を有する。
事件番号: 昭和58(あ)1310 / 裁判年月日: 昭和61年3月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】屋外広告物条例及び軽犯罪法が定める表現活動の制限規定は、表現の自由を保障する憲法21条1項に違反せず、これを本件に適用することも合憲である。 第1 事案の概要:被告人らは、佐賀県屋外広告物条例が禁止する場所に広告物を掲出し、また軽犯罪法1条33号が規定する「他人の工作物等にみだりに広告物等をはり、…
事件番号: 平成1(あ)511 / 裁判年月日: 平成4年6月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】軽犯罪法1条33号及び大阪市屋外広告物条例の規定は、憲法21条および31条に違反せず、表現の自由の不当な制限には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が、軽犯罪法1条33号前段(他人の工作物にみだりに広告物等をはりつけた罪)および大阪市屋外広告物条例(許可を受けずに広告物を掲出する等の罪)に違反す…
事件番号: 昭和62(あ)1273 / 裁判年月日: 昭和63年6月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】軽犯罪法1条33号前段にいう「みだりに」とは、他人の工作物にはり札をするにつき、社会通念上正当な理由があると認められない場合を指し、憲法31条の適正手続に違反しない。また、屋外広告物条例及び同法に基づきはり札行為を処罰することは、表現の自由を保障する憲法21条に違反しない。 第1 事案の概要:被告…