刑訴法五〇一条にいう「裁判」には訴訟費用の裁判は含まれない。
訴訟費用の裁判と刑訴法五〇一条にいう「裁判」
刑訴法501条
判旨
刑事訴訟法501条にいう「裁判」には、訴訟費用の裁判は含まれない。したがって、訴訟費用の裁判の執行に関する疑義を理由として同条に基づく申立てをすることはできない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法501条に規定される、執行に関して解釈の疑義を申し立てることができる対象としての「裁判」に、訴訟費用の裁判が含まれるか否か。
規範
刑事訴訟法501条は、裁判の執行を受ける者が「裁判」の解釈について疑義があるときに申立てをなしうる旨を規定するが、ここにいう「裁判」とは、刑の執行など、被告人の身分や権利に直接的かつ重大な影響を及ぼす主文の判断を指し、訴訟費用の負担を命ずる裁判はこれに含まれない。
重要事実
申立人(抗告人)が、確定した裁判のうち訴訟費用の負担を命じた部分について、執行上の疑義があるとして、刑事訴訟法501条に基づく申立てを行った。これに対し、下級審が同条の対象ではないとして排斥したため、最高裁判所に対し特別抗告がなされた。
あてはめ
事件番号: 昭和56(す)63 / 裁判年月日: 昭和56年4月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法501条に基づく刑の執行に関する異議の申立ては、刑の言渡しをした確定裁判を対象とすべきであり、抗告棄却決定に対しては許されない。 第1 事案の概要:申立人が、抗告棄却決定を対象として刑訴法501条に基づく申立てを行った事案。 第2 問題の所在(論点):刑訴法501条に基づき、検察官の執行…
刑事訴訟法501条の趣旨は、主として自由刑等の身体拘束を伴う裁判の執行における法的安定性を確保することにある。訴訟費用の裁判は、刑事手続に付随する公法上の金銭債権を確定させる手続であり、同条が想定する「裁判」の範疇には属さないと解される。したがって、訴訟費用の裁判について解釈の疑義があるとしても、同条の申立理由には当たらない。
結論
訴訟費用の裁判は刑事訴訟法501条にいう「裁判」に含まれないため、本件申立ては不適法であり、棄却を免れない。
実務上の射程
裁判の執行に関する異議・申立て(刑訴法501条、502条)の対象範囲を画定する際の実務上の指針となる。特に「裁判」という文言がすべての主文を指すのではなく、手続的性質や影響の程度により限定されることを示しており、訴訟費用に関する執行停止や解釈争いには別の手続(民事執行の類推等)を検討すべきことを示唆する。
事件番号: 昭和33(す)547 / 裁判年月日: 昭和33年12月24日 / 結論: 棄却
再審請求棄却決定に対する異議申立棄却決定に対してなされた特別抗告を棄却した決定に対しては、刑訴第五〇一条にいわゆる裁判の解釈を求める申立をすることはできない。
事件番号: 昭和37(し)30 / 裁判年月日: 昭和37年11月20日 / 結論: 棄却
刑訴五〇一条の「裁判の解釈について疑があるとき」とは確定裁判の主文の趣旨について疑がある場合をいう。
事件番号: 昭和58(す)143 / 裁判年月日: 昭和58年10月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】再審請求棄却決定に対する即時抗告棄却決定に対してなされた特別抗告を棄却した決定については、刑事訴訟法501条にいう「裁判の解釈を求める申立」をすることはできない。 第1 事案の概要:申立人は、再審請求を棄却した決定、及びこれに対する即時抗告を棄却した決定を経てなされた特別抗告棄却決定に対し、刑事訴…
事件番号: 昭和28(す)473 / 裁判年月日: 昭和28年9月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法501条に規定される「裁判の解釈について疑があるとき」とは、判決主文の趣旨が明瞭でなく、その意味内容の理解について疑義が生じている場合に限定される。 第1 事案の概要:申立人は、昭和28年9月10日付の書面において、既になされた裁判の解釈を求める申立てを行った。本件では、当該裁判の主文の…