少年の再抗告事件について原決定の説示が正当であるとの職権判断が付されて棄却された事例(いわゆる山形マット死事件)
少年法35条1項,少年法32条
判旨
少年審判において捜査官に対する自白の任意性が争われた場合、記録上その任意性を疑うに足りる証跡が認められない限り、憲法38条2項違反の主張は前提を欠き、抗告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
少年審判における捜査官に対する自白について、憲法38条2項違反(任意性の欠如)が認められるか、及びそれが少年法35条1項の抗告理由となるか。
規範
自白が憲法38条2項に違反して証拠能力を否定されるためには、当該自白が「強制、拷問若しくは脅迫によるもの」又は「不当に長く抑留若しくは拘禁された後のもの」であるなど、任意性に疑いがあることが必要である。
重要事実
少年らの捜査官に対する自白の任意性が争われ、憲法38条2項違反を理由として抗告がなされた事案。原決定の正当性が問われた。
あてはめ
記録を詳細に調査しても、少年らの捜査官に対する自白の任意性を疑うに足りる証跡は認められない。したがって、強制や不当な拘禁による自白であるとの主張は前提を欠いており、憲法違反の事実は存在しないと評価される。
事件番号: 昭和60(し)109 / 裁判年月日: 昭和60年10月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年事件の自白の任意性については、刑事訴訟の原則に準じて判断されるべきであり、任意性が認められる限り、憲法38条2項に違反しない。 第1 事案の概要:少年Aおよび少年Bが関与した保護事件において、附添人は自白の任意性を争い、原審の判断が憲法31条、37条2項、38条等に違反すると主張して再抗告した…
結論
自白の任意性を疑うに足りる証跡がない以上、憲法38条2項違反の主張は認められず、本件抗告を棄却する。
実務上の射程
少年法上の抗告において憲法違反を主張する場合であっても、前提となる事実(任意性を疑わせる事情)が記録上認められない限り、実質的には単なる事実誤認の主張に過ぎないと判断される。答案上は、自白の証拠能力を検討する際の前提として、任意性の有無を記録に基づき確定させる必要があることを示す射程を持つ。
事件番号: 昭和28(し)82 / 裁判年月日: 昭和28年11月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年法35条1項に基づく再抗告は、同項に規定された事由がある場合に限り許容される。憲法違反を主張していても、実質的に原決定の不当(訴訟法違反)をいうにすぎない場合は、適法な再抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:申立人Aは、家庭裁判所の決定に対する抗告審の判断を不服として再抗告を申し立てた。…
事件番号: 昭和28(し)14 / 裁判年月日: 昭和28年5月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年法35条1項に規定する再抗告事由に関し、実質的な法令違反を憲法違反と主張する再抗告は不適法であり、棄却されるべきである。 第1 事案の概要:附添人弁護士が、家庭裁判所の決定を支持した抗告裁判所の決定に対し、憲法違反を主張して最高裁判所へ再抗告を申し立てた事案である。 第2 問題の所在(論点):…
事件番号: 昭和46(し)71 / 裁判年月日: 昭和46年9月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所への特別抗告において、原審で主張・判断を経ていない憲法違反の主張をすることは、適法な抗告理由にあたらない。 第1 事案の概要:本件は、少年審判に関する決定に対し、憲法11条および31条違反を理由として特別抗告がなされた事案である。しかし、当該憲法違反の主張は、原審の手続過程において主張さ…
事件番号: 昭和56(し)37 / 裁判年月日: 昭和56年3月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年を保護観察(短期)に付した保護処分が不当に重いという主張は、少年法35条1項に規定される抗告理由(憲法違反、憲法解釈の誤り、重大な事実誤認、法令の違反)には当たらない。 第1 事案の概要:少年に対し保護観察(短期)に付する旨の保護処分がなされた。これに対し、抗告人は憲法違反を名目として抗告を申…