執行猶予取消し手続における証拠決定及びこれに対する異議申立て棄却決定が刑訴法433条1項にいう決定に当たらないとされた事例
刑訴法433条1項
判旨
証拠決定およびこれに対する異議申立て棄却決定は、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には当たらない。
問題の所在(論点)
証拠決定およびこれに対する異議申立て棄却決定が、刑事訴訟法433条1項に規定される特別抗告の対象(「この法律により不服を申し立てることができない決定」)に含まれるか。
規範
刑事訴訟法433条1項に基づく特別抗告の対象は、同法により不服を申し立てることができない決定または命令に限られる。しかし、証拠決定およびそれに対する異議申立てに対する決定は、独立の不服申立てが禁じられているものの、後の終局判決に対する上訴(同法351条以下)を通じてその当否を争う道が残されているため、同項にいう「不服を申し立てることができない決定」には該当しない。
重要事実
本件において、裁判所が行った証拠決定、およびこれに対してなされた異議申立てを棄却する決定に対し、抗告人が刑事訴訟法433条1項に基づき特別抗告を申し立てた事案である。
あてはめ
証拠決定およびこれに対する異議申立て棄却決定は、それ自体に対して即時抗告等の独立した不服申立てを行うことはできない。もっとも、これらの決定の当否は、後に言い渡される終局判決に対する控訴や上告といった通常の上訴手続において、判決に影響を及ぼした法令違反等として争うことが可能である。したがって、制度全体として不服申立ての手段が完全に遮断されているわけではないため、特別抗告の対象となる「不服を申し立てることができない決定」には当たらないと解される。
事件番号: 昭和38(し)48 / 裁判年月日: 昭和38年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】訴訟手続に関し判決前にした決定に対する異議申立てを棄却する決定は、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には当たらない。したがって、かかる決定に対して特別抗告を申し立てることは不適法である。 第1 事案の概要:京都地方裁判所は、暴力行為等処罰法違反被告事件…
結論
本件の証拠決定および異議申立て棄却決定に対する特別抗告は、対象を欠き不適法であるため、棄却されるべきである。
実務上の射程
刑事手続における中間的な決定(証拠決定等)の当否は、原則として終局判決に対する上訴の中で争うべきであり、特別抗告を濫用して手続の中断を招くことは許されないという実務上の運用を再確認するものである。答案上は、特別抗告の適格性を検討する際の除外例として引用する。
事件番号: 昭和49(し)77 / 裁判年月日: 昭和49年9月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所が抗告裁判所として下した決定に対しては再抗告が許されないため、刑事訴訟法428条に基づく異議の申立ては認められない。 第1 事案の概要:抗告人が、高等裁判所が抗告裁判所としてした決定に対し、具体的な憲法違反の主張を欠く特別抗告(刑事訴訟法433条)を申し立てた事案。その手続過程において、…
事件番号: 昭和53(し)101 / 裁判年月日: 昭和53年12月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】証拠決定に対する異議申立てを棄却する決定は、訴訟手続に関し判決前にした決定であり、刑事訴訟法433条1項に規定する特別抗告の対象となる決定にはあたらない。 第1 事案の概要:被告人が、裁判所による証拠決定(証拠採用または却下の決定)に対して異議を申し立てたところ、裁判所がその異議申立てを棄却する決…
事件番号: 昭和43(し)70 / 裁判年月日: 昭和43年9月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】証拠決定に対する異議申立てを棄却した決定のような「訴訟手続に関し判決前にした決定」は、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には該当せず、特別抗告を申し立てることはできない。 第1 事案の概要:被告人が証拠決定に対して異議を申し立てたところ、裁判所がこれを…
事件番号: 昭和35(し)3 / 裁判年月日: 昭和35年2月23日 / 結論: 棄却
検察官から証拠調の請求がなされた録音テープ一巻は、いわゆる盗聴による違法証拠で証拠能力がない旨の弁護人の意義申立を棄却し、これを取り調べる旨の決定は、公訴手続に関し判決前にした決定であつて、刑訴第四三三条第一項にいわゆる「この法律により不服を申し立てることができない決定」にあたらない。