少年のした再抗告を再度の抗告と解してした抗告棄却決定を取り消すとともに,あわせて右再抗告を棄却した事例
少年法35条1項,少年法32条,少年審判規則53条2項,少年審判規則54条,少年審判規則53条1項
判旨
少年法35条1項の再抗告として明らかに提出された申立書について、原裁判所がこれを不適法な「再度の抗告」と誤認して棄却したことは、少年法及び少年審判規則の解釈適用を誤ったものであり、著しく正義に反するため取り消されるべきである。
問題の所在(論点)
「再抗告申立書」として提出された書面を、原裁判所が独自の解釈により不適法な「再度の抗告」として処理し、最高裁判所へ送付せずに棄却することが許されるか。
規範
少年法35条1項の規定に基づく再抗告がなされた場合、原裁判所は少年審判規則54条、45条に従い、速やかに最高裁判所に申立書等を送付しなければならない。原裁判所が申立書の法的性質を誤認し、再抗告を不適法な再度の抗告として自ら棄却することは、法令の解釈適用を誤るものであり、これが決定に影響を及ぼし取り消さなければ著しく正義に反すると認められる場合には、当該決定は取り消される。
重要事実
少年は傷害等の非行事実により中等少年院送致の決定を受け、これに対し抗告したが棄却された。少年は、当該抗告棄却決定の送達後、原審裁判所に対し「再抗告申立書」と題する書面を提出した。しかし、原審裁判所はこれを「再度の抗告」と解釈し、抗告権消滅後の不適法な申立てであるとして棄却決定(原決定)を下した。少年はこれに対し、再抗告を申し立てた。
あてはめ
少年の提出した書面は、そのタイトルが「再抗告申立書」であり、記載内容に照らしても少年法35条1項による再抗告であることが明らかであった。それにもかかわらず、原審裁判所がこれを「再度の抗告」と誤認して自ら棄却したことは、適正な不服申立手続を定めた少年法および少年審判規則に違反する。このような法令違反は決定の結論に直接影響を及ぼし、申立人の権利を著しく損なうものであって、取り消さなければ著しく正義に反するといえる。
事件番号: 平成3(し)118 / 裁判年月日: 平成3年12月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年法35条1項に基づく最高裁判所への再抗告において、抗告申立期間経過後による不適法却下という形式的な判断を争うのではなく、実質的な理由のみを述べる場合は適法な抗告理由に当たらない。 第1 事案の概要:本件は、家庭裁判所の決定(原原決定)に対する抗告が、申立期間を経過した不適法なものであるとして原…
結論
原決定を取り消す。なお、改めて判断される再抗告については、理由が事実誤認・処分不当の主張に留まり、法35条1項所定の再抗告理由(憲法違反等)に当たらないため、これを棄却する。
実務上の射程
裁判所による不服申立書の性質決定の誤りが、上訴権を奪う結果となる場合には、著しい正義反を理由とする取消事由となることを示した事例。少年法上の救済手続において、書面の文言や趣旨から客観的に判断されるべき不服申立の性質を、裁判所が恣意的に判断して門前払いすることを戒める射程を持つ。
事件番号: 昭和26(し)78 / 裁判年月日: 昭和26年12月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年法35条1項の再抗告は、同条に規定された憲法違反または憲法解釈の誤り等の事由を理由とする場合に限り許容され、単なる事実誤認や処分の不当を主張するものは不適法である。 第1 事案の概要:申立人は窃盗等の非行事実により中等少年院送致の保護処分を受けた。これに対し申立人は、(1)家からの持ち出し窃盗…
事件番号: 昭和43(し)5 / 裁判年月日: 昭和43年1月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年法35条に基づく再抗告において、実質的に単なる法令違反を主張するものや、事案の異なる判例の引用による判例違反の主張は、適法な再抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:本件は、少年審判の決定に対し再抗告がなされた事案である。再抗告人は、第一点として憲法違反を主張し、第二点として判例違反を主張…
事件番号: 昭和28(し)82 / 裁判年月日: 昭和28年11月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年法35条1項に基づく再抗告は、同項に規定された事由がある場合に限り許容される。憲法違反を主張していても、実質的に原決定の不当(訴訟法違反)をいうにすぎない場合は、適法な再抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:申立人Aは、家庭裁判所の決定に対する抗告審の判断を不服として再抗告を申し立てた。…
事件番号: 昭和55(し)111 / 裁判年月日: 昭和55年9月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年法35条1項の抗告理由において、憲法違反を主張する場合には憲法条項の具体的摘示が必要であり、また単なる法令違反や事実誤認の主張は同条所定の抗告理由に当たらない。 第1 事案の概要:抗告人が、少年法35条1項に基づき最高裁判所に対して抗告(再抗告)を提起した事案。抗告人は多岐にわたる違憲の主張を…