いわゆる10・20成田事件
判旨
刑事訴訟法405条2号および3号に規定される「判例」に地方裁判所の判決は含まれず、これに反することを理由とする上告は認められない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法405条各号に掲げられた上告理由のうち、2号および3号に規定される「判例」に地方裁判所の判決が含まれるか。
規範
刑事訴訟法405条2号および3号にいう「判例」とは、最高裁判所の判例、または最高裁判所がまだ判決を出していない場合における大審院若しくは上告裁判所たる高等裁判所の判例を指す。地方裁判所の判決は、同条に規定される「判例」には当たらない。
重要事実
被告人A、B、Cおよびその弁護人は、下級審の有罪判決に対し、憲法違反、事実誤認、法令違反に加え、地方裁判所の判決例との相反を理由に判例違反を主張して上告を申し立てた。
あてはめ
弁護人が引用した判決のうち、地方裁判所の判決については、刑事訴訟法405条2号および3号が想定する「判例」に該当しないことは明らかである。また、その他の引用判例については事案を異にしており適切ではない。さらに、憲法違反や事実誤認、単なる法令違反の主張は、同法405条が定める厳格な上告理由のいずれにも当たらない。
結論
地方裁判所の判決を引用して判例違反を主張することは上告理由として不適法であり、本件各上告は棄却される。
事件番号: 昭和47(あ)2566 / 裁判年月日: 昭和48年9月25日 / 結論: 棄却
判決登載刊行物の号巻丁数のみを掲げ、もしくは裁判所名および言渡日のみを指摘するにとどまる主張は判例の具体的な摘示があるといえない。
実務上の射程
刑事実務および答案作成において、上告理由を構成する際の「判例」の範囲を明確にするものである。地裁・高裁の裁判例(最高裁未判断時を除く)を「判例違反」の根拠として論じることは、制度上の上告理由を欠くことを銘記すべきである。
事件番号: 平成5(あ)253 / 裁判年月日: 平成7年5月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】集団的な実力行使が正当な抵抗権の行使として憲法上保障されるかは、その行為の手段、方法、規模、態様を総合考慮して決せられるべきであり、違法性が阻却されない態様での行為は憲法違反を構成しない。 第1 事案の概要:被告人らは、凶器準備結集等の罪に問われた事案において、自らの行為は憲法上の抵抗権等に基づく…
事件番号: 昭和55(あ)1181 / 裁判年月日: 昭和56年3月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】火炎びんの使用等の処罰に関する法律(火炎びん処罰法)は、規制対象行為の危険性に照らし立法根拠が認められ、差別的立法ではなく、構成要件も明確であるため、憲法13条、14条、19条、21条1項、31条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人らは、火炎びんの使用等の処罰に関する法律違反等で起訴された。こ…
事件番号: 昭和60(あ)556 / 裁判年月日: 昭和62年2月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本決定は、憲法13条、31条、35条1項、37条3項違反を主張する上告について、実質は単なる法令違反や事実誤認の主張にすぎないとして、刑訴法405条の上告理由に当たらないと判断したものである。 第1 事案の概要:被告人側が、憲法13条(個人の尊重)、31条(適正手続)、35条1項(住居等の不可侵)…
事件番号: 昭和56(あ)929 / 裁判年月日: 昭和59年11月30日 / 結論: 棄却
一 刑訴法一九条により移送を受けた被告事件について、当初土地管轄のあることが明らかでなかつたとしても、その後管轄違の申立がされるまでの間に土地管轄が備わるに至つた場合には(判文参照)、土地管轄についての瑕疵は治癒される。 二 刑訴法六条による関連事件の管轄が認められるためには、いわゆる固有管轄事件及びその関連事件が共に…