勾留期間更新決定に対する特別抗告が勾留状の期間満了による失効により申立ての利益を失ったとされた事例
刑訴法433条
判旨
勾留状の効力が期間満了により失われた場合、当該勾留状に対する不服申立ての利益は消滅し、抗告は棄却されるべきである。
問題の所在(論点)
勾留状の有効期間が経過し、その効力が失われた後においても、当該勾留の是非を争う抗告の利益が認められるか(刑事訴訟法426条1項、434条)。
規範
不服申立て(抗告)の適法性については、裁判時において不服を申し立てる実益、すなわち「抗告の利益」が存続していることが必要である。勾留等の身体拘束処分については、当該処分の根拠となる令状の効力が期間の経過等によって失効した場合には、特段の事情がない限り、処分の取り消しを求める法的利益は消滅する。
重要事実
被告人等に対し勾留状が発付され、それに対して不服申立て(抗告)がなされていたが、最高裁判所の審理が行われる時点(平成3年2月26日)よりも前の段階(平成3年2月2日)で、勾留期間が満了した。
あてはめ
本件において、勾留の根拠となっている勾留状は、平成3年2月2日を経過した時点で期間満了によりその効力を失っている。既に失効した令状に基づく勾留処分を、事後的に取り消す必要性は失われているといえる。したがって、本件抗告を継続し、その実体について判断を下す前提となる「抗告の利益」は失われたものと評価される。
事件番号: 平成6(し)88 / 裁判年月日: 平成6年7月8日 / 結論: 棄却
勾留期間更新決定に関する抗告申立ての利益は、右決定による勾留の期間の満了により失われる。
結論
本件勾留状はその効力を失ったため、本件抗告は利益を失ったものとして棄却される。
実務上の射程
身体拘束に関する不服申立て全般における消極的要件(訴えの利益)の確認として機能する。答案作成上は、勾留期間更新決定や勾留執行停止の取消しを争う際、既に期間が経過し身体拘束が終了している場合に「訴えの利益がない」とする論理の根拠として用いる。
事件番号: 平成3(し)112 / 裁判年月日: 平成3年10月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留期間延長の裁判に対する不服申立てにおいて、既に被疑者が釈放されている場合には、裁判を取り消すことによる法律上の利益が失われるため、抗告は不適法となる。 第1 事案の概要:申立人は勾留期間延長の裁判を受けたが、その後、平成3年10月15日に釈放された。しかし、申立人は当該勾留期間延長の裁判の取消…
事件番号: 昭和29(し)27 / 裁判年月日: 昭和29年6月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】有罪判決の確定により未決勾留はその効力を失うため、勾留期間更新決定の当否を争う特別抗告は、不服申立ての利益を欠き不適法となる。 第1 事案の概要:申立人は窃盗被告事件に関し、名古屋高等裁判所で控訴棄却の有罪判決を受けた。これに対し上告受理の申立てを行ったが受理されず、昭和29年5月14日に原判決が…
事件番号: 昭和24新(つ)12 / 裁判年月日: 昭和25年9月8日 / 結論: 棄却
本件特別抗告は、被告人に對する昭和二四年(を)第一五一〇號窃盜窃被告事件の控訴審たる東京高裁が昭和二四年九月一七日決定した同被告人に關する勾留更新決定に對する異議申立棄却決定につき、同月二〇日抗告人より爲されたものである。しかるに、右被告事件は同年一二月二七日控訴棄却の判決があり確定したものであることが、その後における…
事件番号: 平成24(し)506 / 裁判年月日: 平成24年10月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】観護措置更新決定による収容期間が既に満了している場合、当該決定の効力を争う特別抗告の申立ては、訴えの利益(抗告の利益)を失い不適法となる。 第1 事案の概要:本件は、観護措置更新決定に対する異議申立てを棄却した決定に対し、特別抗告がなされた事案である。記録によれば、当該更新決定に基づく収容期間は平…