死刑の量刑が維持された事例(仙台の老夫婦強盗殺人等事件)
判旨
強盗殺人等の罪について、犯行の計画性、罪質の悪質性、残虐な犯行態様、及び被害者2名という結果の重大性を鑑み、被告人の前科がない等の事情を考慮しても、死刑の選択はやむを得ないとした。
問題の所在(論点)
強盗殺人、死体遺棄の罪について、被告人に前科がないこと等の有利な事情を考慮しても、極刑である死刑を選択することが社会通念上相当(量刑不当といえない)か。
規範
死刑の選択については、犯行の性質、動機、態様(特に殺意の強さや残虐性)、結果の重大性(特に殺害された被害者の数)、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等、諸般の事情を併せ考察し、罪責が誠に重大であって、罪罰の均衡及び一般予防の見地からもやむを得ない場合に認められる(永山基準の踏襲)。
重要事実
被告人は、知人A(82歳)が多額の現金を自宅に置いていると考え、A夫妻を殺害して金品を強取することを計画。用意した鉄筋でAの頭部を殴打し電気コードで絞殺した後、帰宅した妻B(75歳)も同様に殴打し殺害した。その後、郵便貯金証書等を強取し、両名の死体を遺棄した。被告人には前科はなかった。
あてはめ
本件は金銭欲による計画的犯行で罪質が悪質である。また、鉄筋による殴打や絞殺という態様は冷酷かつ残虐であり、落ち度のない2名の生命を奪った結果は極めて重大である。遺族の処罰感情も厳しく、社会に与えた影響も大きい。これらの事情に照らせば、前科がない等の被告人に有利な事情を最大限考慮しても、刑事責任は誠に重いといえる。
結論
第一審の死刑判決を維持した原判決は正当であり、死刑の科刑はやむを得ない。
事件番号: 平成13(あ)1173 / 裁判年月日: 平成18年2月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法13条、31条、36条、98条2項に違反せず、殺害の態様が冷酷かつ残忍で結果が重大な強盗殺人等の事案においては、前科がない等の事情を考慮しても死刑の選択はやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は、共犯者らと共に、(1)会社事務所からの金庫窃盗および古美術店経営者宅での強盗を行い、(…
実務上の射程
被害者が2名の場合であっても、犯行の計画性や残虐性が高く、動機に酌量の余地がない場合には、前科がないなどの一般的有利事情を凌駕して死刑が選択されうることを示した事例。死刑選択の可否が争点となる事案でのあてはめの指標となる。
事件番号: 平成1(あ)1354 / 裁判年月日: 平成8年10月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に当たっては、罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等の諸事情を総合的に考慮し、その罪責が極めて重大で、やむを得ない場合に認められる。本件では、計画的かつ残虐な2件の強盗殺人等について、被告人の反省や前科がない点等の有利な事情を考慮して…
事件番号: 平成14(あ)317 / 裁判年月日: 平成18年2月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法13条、31条、36条に違反せず、2名の生命を奪った計画的かつ残忍な犯行において、被告人の役割が中心的であれば、酌むべき情状を考慮しても死刑を選択することはやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は共謀の上、(1)知人男性を車内で絞殺して死体をコンクリートで固めて遺棄し、(2)その2…
事件番号: 平成8(あ)826 / 裁判年月日: 平成13年9月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択が許容されるか否かの判断においては、犯行の罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、その罪責が誠に重大であって、極刑の選択がやむを得ないといえる場合に限られる。 第1 事案の概要:被告人は、交際相手への送金等の資金に窮し…