「普通車は軽車(360)に限る」という条件が付された普通自動車免許で上記条件を超える普通貨物自動車(軽四)を運転した免許条件違反行為を昭和40年法律第96号附則2条4項及び5条4項の規定する無免許運転行為と誤認してされた略式命令に対する非常上告
刑訴法338条4号,刑訴法458条1号,道路交通法91条,道路交通法119条1項15号,道路交通法125条1項,昭和40年法律第96号附則2条4項,昭和40年法律第96号附則5条4項
判旨
「普通車は軽車に限る」との限定条件付き免許を保有する者が、限定外の普通車を運転した行為は、無免許運転ではなく免許条件違反罪を構成する。反則行為に該当する場合、交通反則通告手続を経ない公訴提起は適法な手続を欠くものとして、刑事訴訟法338条4号に基づき公訴棄却すべきである。
問題の所在(論点)
限定付き免許を保有する者が、限定外の車両を運転する行為は「無免許運転」か、それとも「免許条件違反」か。また、後者である場合に反則手続を経ずに公訴を提起した手続の適法性が問題となる。
規範
1. 運転免許の条件(道路交通法91条)を付された者がその条件に違反して車両を運転する行為は、同法119条1項15号の免許条件違反罪を構成する。2. 同罪が反則行為(同法125条1項)に該当する場合、通告および納付期間の経過(同法127条、128条)という特例手続を経ない限り、公訴の提起をすることができない(同法130条)。
重要事実
被告人は、普通自動車免許を取得していたが、その免許には「普通車は軽車(360cc以下)に限る」という道路交通法91条に基づく条件が付されていた。被告人は、公安委員会の審査に合格していないにもかかわらず、本件において、運転できる範囲外の普通貨物自動車(軽四)を公道で運転した。検察官は、これを無免許運転(法64条違反)として公訴を提起したが、交通反則通告手続(道路交通法上の特例手続)は行われていなかった。一審の簡易裁判所は無免許運転として罰金20万円の略式命令を発出し、確定した。
事件番号: 平成22(さ)250 / 裁判年月日: 平成22年7月22日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】道路交通法上の反則行為に該当する事実について、通告及び納付期間の経過という適法な手続を経ずに提起された公訴は、追起訴の制限に違反し無効である。 第1 事案の概要:被告人は道路において法定最高速度を37km/h超える速度で普通乗用自動車を運転した。当該場所は自動車専用道路の指定を受けていたため、この…
あてはめ
被告人は有効な「普通自動車免許」自体は保有しており、単に運転できる車両の種類を限定する条件が付されているにすぎない。したがって、条件外の車両を運転する行為は、無免許運転(法64条)ではなく免許条件違反(法119条1項15号)に該当する。本件行為は道路交通法125条1項の「反則行為」に該当するため、法130条に基づき、通告手続及び納付期間の経過を経なければ公訴提起ができない。本件ではこの手続を経ないまま公訴が提起されており、公訴提起の手続が規定に違反したものであるといえる。
結論
本件行為は免許条件違反罪を構成し、特例手続を欠く公訴提起は無効である。したがって、刑事訴訟法338条4号により公訴を棄却すべきである。
実務上の射程
実務上、無免許運転と免許条件違反の区別を明確にする際の基準となる。答案上は、公訴提起の前提条件としての「特例手続(反則金制度等)」の欠如が、刑訴法338条4号の「公訴提起の手続がその規定に違反したため無効であるとき」に該当することを論証する際に引用する。
事件番号: 昭和56(さ)4 / 裁判年月日: 昭和57年9月28日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】交通反則者に対し、反則金の納付通告等を経ることなく提起された公訴は、公訴提起の手続が規定に違反したため無効であるとして、刑訴法338条4号に基づき棄却すべきである。 第1 事案の概要:被告人は、指定最高速度を17キロメートル超過して普通乗用自動車を運転した。当初、交通事件原票の誤記により、被告人に…
事件番号: 昭和62(さ)3 / 裁判年月日: 昭和63年4月1日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】交通反則通告制度の対象となる「反則者」に対し、通告手続を経ずに公訴を提起することは公訴提起の手続が規定に違反するため、裁判所は刑訴法338条4号により公訴棄却の判決をすべきである。 第1 事案の概要:被告人は最高速度を15キロメートル超える速度で大型貨物自動車を運転した。交通事件原票には、過去1年…
事件番号: 平成22(さ)243 / 裁判年月日: 平成22年7月22日 / 結論: 破棄自判
被告人が原略式命令確定後に本邦を出国し非常上告申立て時において再入国していない場合においても,検事総長は最高裁判所に非常上告をすることができる。
事件番号: 平成25(さ)1 / 裁判年月日: 平成25年9月17日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】道路交通法上の反則行為に該当する事実について、法が定める通告・納付期間の経過という特例手続を経ずに提起された公訴は、その手続が規定に違反するため刑事訴訟法338条4号により棄却されるべきである。 第1 事案の概要:被告人は、指定最高速度50km/hの道路において時速81km/h(31km/h超過)…