被告事件について証拠調べ手続が開始された後に裁判官が発付した捜索差押許可状に基づき検察官が行った差押処分が是認された事例
刑訴法99条,刑訴法218条1項
判旨
被告事件の証拠調べ手続開始後であっても、受訴裁判所に捜索差押えを請求したのでは証拠が隠滅されるおそれがあるなどの例外的な場合には、捜査機関による捜索差押えも許容される。
問題の所在(論点)
被告事件につき証拠調べ手続が開始された後において、検察官が受訴裁判所を通さず、裁判官の発付する許可状に基づき捜査機関として行う捜索差押えの可否が、公判中心主義の観点から問題となる。
規範
被告事件の証拠調べ手続開始後における捜索差押えは、公判中心主義等の観点から、原則として受訴裁判所に対し証拠調べの一環として請求すべきである。しかし、受訴裁判所による手続を待っていては証拠が隠滅されるなど、捜索差押えの目的を達し得ない特段の事情(例外的な必要性)がある場合には、捜査機関による捜索差押えも適法となる。
重要事実
被告事件の第1審第12回公判期日(証拠調べ手続開始後)において、検察官の請求により裁判官が発付した捜索差押許可状に基づき、捜査機関が差押処分を行った。本件では、検察官が受訴裁判所に証拠調べの一環として捜索差押えを請求したとすれば、その間に被告人らによって差押対象物が隠滅されるおそれがあったという事情が存在した。
あてはめ
本件では、証拠調べ手続が開始された後の処分ではあるが、受訴裁判所への請求手続を経ることでタイムラグが生じれば、被告人らによる証拠隠滅を招く具体的おそれがあったといえる。このような証拠隠滅のおそれがある状況下では、捜索差押えの目的を達するために捜査機関が直接許可状を得て処分を行う必要性が認められ、公判中心主義を害するものとはいえない。
事件番号: 平成13(し)299 / 裁判年月日: 平成14年6月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事確定訴訟記録法に基づき検察官が行う記録の閲覧等に関する処分は、同法8条1項にいう「閲覧に関する処分」に該当しないため、刑事訴訟法430条1項による準抗告の対象とならない。 第1 事案の概要:本件において、申立人は検察官に対し刑事確定訴訟記録の閲覧を求めたが、検察官はこれに対し何らかの拒否または…
結論
本件各差押処分は適法であり、これを是認した原決定の判断は正当であるため、抗告は棄却される。
実務上の射程
公判開始後の捜査の限界に関する重要判例。答案では「公判中心主義」を根拠に原則不可としつつ、「証拠隠滅のおそれ」等の緊急性を要件に例外を認める論理構成をとる。補足意見が言及する「事後の開示措置」の要否も、適正手続の観点から併せて検討の対象となり得る。
事件番号: 昭和44(し)70 / 裁判年月日: 昭和44年10月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法上の特別抗告(刑訴法433条)において、違憲主張が実質的な法令違反にすぎない場合や、判例違反の具体的摘示がない場合は、正当な抗告理由にあたらない。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定に対し最高裁判所へ特別抗告を申し立てた。抗告の趣旨において憲法違反を主張したが、その内容は実質的に単なる法令違反…
事件番号: 昭和52(し)114 / 裁判年月日: 昭和54年12月12日 / 結論: 棄却
押収物が検察官の歳入編入処分により国の一般財産と混和し特定性を失つたときは、当該押収物の還付は不能である。
事件番号: 令和7(し)177 / 裁判年月日: 令和7年11月10日 / 結論: その他
刑訴法430条の準抗告裁判所は、捜査機関の処分の当否を判断するに当たり、捜査機関が当該処分当時に収集していた資料のみならず、その当時の事実に関する資料であって、その後に捜査機関が収集し、又は裁判所に提出されたものについても考慮に入れるべきである。
事件番号: 令和4(し)25 / 裁判年月日: 令和4年7月27日 / 結論: 棄却
捜査機関が押収した各押収物には、被押収者らに対する各準強制性交等被疑事件等に関する動画データ等が記録されており、同動画データ等は、被害者とされた女性らに無断で撮影又は録音されたもので、これらが流布された場合には、同人らの名誉、人格等を著しく害し、同人らに多大な精神的苦痛を与えるなどの回復し難い不利益を生じさせる危険性が…