いわゆる東電OL殺人事件
刑訴法411条
判旨
原審が訴訟記録及び第1審で取り調べた証拠のみに基づいて直ちに犯罪事実を確定し有罪判決をしたものではない限り、刑事訴訟法405条の上告理由(判例違反)には当たらない。
問題の所在(論点)
控訴審が第1審の無罪判決を破棄し、自ら有罪の判決を下す場合に、新たな証拠調べを要するか、あるいは訴訟記録等の精査のみで足りるかという事実認定の手続的適法性が問題となる(刑訴法400条但書、405条2号)。
規範
控訴審において第1審判決を破棄し、自ら有罪の判決をするに際し、訴訟記録及び第1審裁判所において取り調べた証拠のみによって直ちに犯罪事実の存在を確定することは、公判中心主義及び直接主義の観点から許されない(最決昭31・7・18等参照)。しかし、原審の認定がこれに抵触しない限り、判例違反とは認められない。
重要事実
第1審の無罪判決に対し検察官が控訴し、原審(控訴審)は第1審の無罪判決を破棄した上で被告人を実刑に処した。被告人側は、原審が新たな証拠調べを行うことなく記録のみで事実誤認を認定し、自ら有罪判決を下したことが判例に違反するとして上告した。
あてはめ
本件記録によれば、原審は単に訴訟記録や第1審の証拠のみによって「直ちに」犯罪事実を確定したものではないと判断される。したがって、事実認定の過程において公判中心主義や直接主義を潜脱するような手続上の違法は認められず、先行する判例の趣旨に反する事態は生じていない。
事件番号: 平成12(あ)682 / 裁判年月日: 平成15年1月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人が強盗殺人の犯行を行ったとした原判決の事実認定を正当として是認し、上告を棄却した。 第1 事案の概要:被告人が強盗殺人の罪に問われた事案において、第一審・控訴審ともに有罪判決が下された。被告人側は事実誤認および法令違反を理由に上告を申し立てた。 第2 問題の所在(論点):被告人が本件強盗殺人…
結論
本件における原審の認定手続は判例に違反するものではなく、被告事件の犯罪事実の存在を確定した判断は正当であるため、上告を棄却する。
実務上の射程
控訴審が破棄自判で有罪とする際の限界を示す。実務上は、第1審の供述証拠の信用性を否定して有罪とする場合には原則として改めて証拠調べが必要とされるが、本決定は「直ちに確定したものではない」という抽象的認定に留まるため、個別事案ごとの記録精査が重要となる。
事件番号: 昭和44(あ)2560 / 裁判年月日: 昭和47年6月15日 / 結論: 棄却
第一審で無罪を言い渡された被告人に対し、控訴裁判所が事実調のうえ、右無罪判決を破棄し、自ら有罪の判決を言い渡すこと、およびこの場合、右控訴審判決に対し、上訴において事実誤認等を争う途が閉ざされていることは、憲法三一条ないし四〇条またはその精神に反するものではない。