死刑の量刑が維持された事例(東京,群馬,滋賀の連続強盗殺人事件)
判旨
死刑の選択に際しては、犯罪の性質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情況等を総合的に考慮し、極刑がやむを得ないと認められる場合に許される。本件のような主導的立場で敢行された3名の強盗殺人事犯等において、刑事責任は極めて重く、死刑の維持は妥当である。
問題の所在(論点)
死刑制度の憲法適合性、および本件の犯行態様、被害者数、被告人の役割等に照らした量刑(死刑選択)の妥当性。
規範
死刑の選択をするに当たっては、罪質、動機、犯行態様(特に殺害方法の執拗性・残虐性)、結果の重大性(特に殺害された被害者の数)、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情況等、諸般の事情を併せ考察し、その罪責が誠に重大であって、罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも極刑がやむを得ないと認められる場合に、これを選択することができる。
重要事実
被告人は共謀の上、約2か月の間に強盗殺人3件、強盗殺人未遂1件等を主導。具体的には、(1)金融業者宅で胸部等を刺し約3000万円相当を強取、(2)金融業事務所で胸部等を刺し重傷を負わせる、(3)ゲーム店長を至近距離から拳銃で射殺し約9万円を強取、(4)不動産業者宅でハンマーによる殴打及び刺殺により現金等を強取した。被告人は情報の収集、共犯者の選別、計画立案、凶器準備の指示、現場での指揮命令、利得の分配の全てにおいて主導的地位にあった。
あてはめ
本件は金銭欲による利己的な動機で、落ち度のない3名の生命を奪った結果が極めて重大である。犯行態様は大胆不敵かつ冷酷・残虐であり、罪質も著しく悪質といえる。被告人は一貫して主導的地位に立って犯行を推進し、共犯者を凶悪な犯行に巻き込んだ点でも罪責は極めて重い。捜査段階での反省の情等の酌むべき事情を考慮しても、刑事責任は誠に重大であり、極刑はやむを得ない。また、死刑制度は憲法13条、31条、36条に違反しない(判例)。
事件番号: 昭和63(あ)352 / 裁判年月日: 平成6年1月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に際しては、犯行の罪質、動機、態様、とりわけ殺害された被害者数の多さや結果の重大性、遺族の処罰感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等を併せ考察し、罪責が極めて重大であって罪刑の均衡、一般予防の観点からもやむを得ないと認められる場合に許される。 第1 事案の概要:被告人は、昭和…
結論
被告人を死刑に処した第一審判決を維持した原判決は、刑事訴訟法411条を適用すべきものとは認められず、妥当である。
実務上の射程
死刑選択の基準を示した「永山基準」を再確認し、事案への具体的なあてはめ手法を示すものである。特に、複数犯における「主導的地位」や「犯行計画の主導性」が、被害者数と並んで死刑選択の強力な考慮要素となることを示唆しており、量刑論の論述において参照すべき事案である。
事件番号: 昭和57(あ)932 / 裁判年月日: 昭和59年9月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に当たっては、犯行の態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、被告人の犯罪歴や性格、生育環境等の諸事情を総合的に考慮し、その科刑がやむを得ないと認められる場合にはこれを肯定できる。 第1 事案の概要:被告人は金品を強取するため、就寝中の一家5名全員の殺害を企図。ハンマーで強打し、あ…
事件番号: 平成10(あ)645 / 裁判年月日: 平成16年4月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度およびその執行方法は憲法36条に違反しない。また、複数の強盗殺人等の事案において、犯行の性質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響等を総合考慮し、被告人の罪責が誠に重大である場合には、死刑の科刑は妥当である。 第1 事案の概要:被告人は共謀の上、約2か月間にわたり計4件の強…
事件番号: 昭和63(あ)68 / 裁判年月日: 平成5年9月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法13条、36条に違反せず、犯行の罪質、動機、態様、結果等の諸事情に照らして罪責が誠に重大である場合には、死刑の選択はやむを得ないものとして是認される。 第1 事案の概要:被告人は、離婚届を出して身を隠した妻の所在を隠匿したとして、妻の兄らに対して恨みを抱いた。被告人は恨みを晴らすとと…
事件番号: 平成13(あ)1667 / 裁判年月日: 平成17年10月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の量刑を決定するに際しては、犯行の罪質、動機、計画性、殺害方法の残虐性、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状を総合的に考慮すべきである。本件のように、2名の命を奪い、主導的立場で計画的かつ極めて残虐な犯行に及んだ場合には、反省や遺族への金銭支払等の事情があっ…