刑の執行猶予言渡取消決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件において、裁判の執行を停止する場合には、原決定を対象とすべきである。
刑の執行猶予言渡取消決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件における裁判の執行停止とその対象とすべき裁判
刑法26条,刑訴法424条,刑訴法434条
判旨
最高裁判所が特別抗告の申立てを受けた際、必要と認めるときは、職権で原決定の執行を停止する決定をすることができる。
問題の所在(論点)
刑の執行猶予取消決定に対する特別抗告がなされた場合に、最高裁判所は、本案の判断に先立って、職権により原決定の執行を停止することができるか。
規範
刑法および刑事訴訟法の規定に直接の明文はないものの、特別抗告の申立てがあった場合において、裁判所は、事案の性質や申立ての理由に照らし、執行を継続することが著しく不当であると認められるなどの特段の事情がある場合には、その裁判があるまで執行を停止する決定を行うことができる。
重要事実
申立人は、東京地方裁判所による刑の執行猶予言渡取消決定に対し、東京高等裁判所に即時抗告をしたが棄却された。これに対し、申立人の代理人弁護士が特別抗告を申し立てた事案である。最高裁判所は、本件特別抗告に対する裁判があるまで、原決定の執行を停止すべきものと判断した。
事件番号: 昭和56(し)113 / 裁判年月日: 昭和56年11月25日 / 結論: その他
一 刑の執行猶予言渡取消決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件において、裁判の執行を停止する場合には、原原決定を対象とすべきである。 二 高裁で言い渡された執行猶予の判決に対する上告申立期間の満了までに五日を残して、被告人の控訴取下により別件につき地裁で言い渡された懲役刑(実刑)の判決の確定したことが地方検察…
あてはめ
本件において、最高裁判所は申立人の特別抗告を受理した後、その審理の必要性や現状に鑑み、特別抗告に対する最終的な決定が下されるまでの間、現状を維持する必要があると判断した。これにより、職権に基づく執行停止の権限を行使し、原決定(執行猶予言渡取消決定)の効力を一時的に停止させた。
結論
特別抗告に対する裁判があるまで、刑の執行猶予言渡取消決定の執行を停止する。
実務上の射程
刑事手続における特別抗告の性質上、執行停止の効力は当然には生じないが、本決定は最高裁判所が職権による執行停止を認める運用を示したものである。答案上では、救済の必要性が高い場面における裁判所の後見的役割や、職権発動の可能性を論じる際の根拠として活用できる。ただし、あくまで職権による例外的な措置である点に注意を要する。
事件番号: 昭和56(し)141 / 裁判年月日: 昭和56年11月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑の執行猶予取消決定に対する即時抗告棄却決定が、猶予期間内に告知された場合、その後に特別抗告期間が経過しても取消しの効果は妨げられない。 第1 事案の概要:申立人は刑の執行猶予の言渡しを受けたが、後にその取消決定がなされた。これに対し申立人は即時抗告を申し立てたが、昭和56年10月12日に即時抗告…
事件番号: 昭和56(し)44 / 裁判年月日: 昭和56年4月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】執行猶予の言渡しを取り消す旨の決定が告知された時点で猶予期間が満了していなければ、その後の特別抗告の係属中に猶予期間が経過したとしても、刑法27条による刑の言渡しの失効は生じない。 第1 事案の概要:被告人に対し執行猶予が付された刑の言渡しがあった。その後、執行猶予の取消事由が生じたため、裁判所は…
事件番号: 昭和56(し)76 / 裁判年月日: 昭和56年6月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑の執行猶予の言渡しを取り消す決定の効力は、抗告提起期間の経過または抗告棄却決定の確定によって生じるため、特別抗告の係属中に猶予期間が満了したとしても、原決定に誤りがない限り、期間満了による刑の言渡しの失効(刑法27条)は妨げられない。 第1 事案の概要:執行猶予の言渡しを取り消す旨の原決定の告知…
事件番号: 昭和43(し)46 / 裁判年月日: 昭和43年7月11日 / 結論: 棄却
刑の執行猶予の言渡取消決定に対する即時抗告棄却決定が刑の執行猶予期間経過前に刑の言渡を受けた者に告知された場合には、執行猶予の言渡取消の効果が発生するのであつて、その後右即時抗告棄却決定に対する特別抗告が最高裁判所に係属中に右猶予期間が満了しても、そのこと自体によつては右取消の効果は左右されない。