刑訴施行法第三条の二並びに旧刑訴事件の上訴審における審判の特例規則は憲法第一四条に違反しない。
刑訴施行法第三条の二並びに旧刑訴事件の上訴審における審判の特例規則と憲法第一四条
旧刑訴事件の上訴審における審判の特例規則,刑訴施行法3条の2,憲法14条
判旨
共同被告人(共犯者を含む)の自白は、被告人の自白の補強証拠となり得る。また、憲法38条3項の「本人の自白」には、公判廷における被告人の自白は含まれない。
問題の所在(論点)
1. 共同被告人の自白に、被告人の自白に対する補強証拠としての適格が認められるか。 2. 憲法38条3項の「本人の自白」に、公判廷における被告人の自白が含まれるか。
規範
1. 共同被告人(共犯者を含む)の自白は、被告人の自白を補強する証拠とすることができ、これを実際に補強証拠として採用するか否かは裁判官の健全な裁量に委ねられる。 2. 憲法38条3項にいう「本人の自白」とは、公判外の自白を指し、裁判所の公判廷における被告人の自白はこれに含まれない。
重要事実
被告人Aは窃盗教唆の罪に問われた。原審において、被告人の自白を補強する証拠として、共同審理を受けていた共同被告人(共犯者)の自白が用いられた。また、被告人の公判廷における自白の扱いについても憲法違反の主張がなされた。被告人側は、共犯者の自白には補強法則の適用がなく、また公判廷の自白であっても補強証拠なしに有罪とすることは憲法38条3項に反すると主張して上告した。
事件番号: 昭和26(れ)204 / 裁判年月日: 昭和26年5月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共犯者である共同被告人の各自白は、互いに他の被告人の自白の補強証拠となり得る。また、裁判所の公判廷における被告人の自白は、憲法38条3項にいう「自白」には当たらないため、補強証拠がなくともそれのみで有罪の証拠とすることができる。 第1 事案の概要:被告人らは共犯関係にあり、刑事裁判においてそれぞれ…
あてはめ
1. 刑事訴訟法上、共同被告人の自白を補強証拠として用いることを禁止する特別の規定は存在しない。したがって、個別の事案において当該自白が補強に値するかどうかは裁判官の自由な評価(健全な裁量)に委ねられるべきである。 2. 憲法38条3項が補強証拠を要求する趣旨は、虚偽の自白による誤判を防止し、自白の強要を抑止することにある。公判廷での自白は裁判官の面前で自由な意思に基づきなされることが保障されているため、同条の「本人の自白」には含まれず、それのみで有罪の認定が可能である(判例の引用による判断)。
結論
1. 共同被告人の自白は、被告人の自白の補強証拠となり得る。 2. 公判廷の自白は憲法38条3項の「本人の自白」に含まず、補強証拠を要しない。上告棄却。
実務上の射程
実務上、共犯者の供述が被告人の自白の補強証拠として機能することを肯定する。ただし、現在の実務・多数説では、被告人が公判廷で自白した場合であっても、刑訴法319条2項に基づき補強証拠が必要とされる点に注意を要する(本判決は旧法事件及び憲法解釈の文脈である)。答案上は、共犯者の自白に補強証拠としての適格があることを論述する際に本判例を引用する。
事件番号: 昭和26(れ)1435 / 裁判年月日: 昭和26年12月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共同被告人や共犯者の供述は、それ自体が独立した証拠能力を有し、被告人の自白を補強する証拠となり得るため、これらがある場合には被告人の自白のみによる有罪判決には当たらない。 第1 事案の概要:被告人A、B、Cは、それぞれ犯罪事実について有罪判決を受けたが、弁護人は、判示事実が被告人の自白のほかに共犯…
事件番号: 昭和27(あ)194 / 裁判年月日: 昭和28年4月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共犯者の自白は、被告人自身の自白に対する補強証拠となり得る。共犯者の供述により被告人の自白の真実性が担保される限り、憲法38条3項の補強証拠として許容される。 第1 事案の概要:被告人らは、強制や拷問による自白であると主張し、また自白以外に有罪の証拠がないと主張して上告した。原審においては、被告人…