受取人白地のままの約束手形によつては、手形金の請求をすることはできない。
受取人白地の約束手形による手形金請求の許否。
手形法10条,手形法38条
判旨
白地手形は、手形要件が補充されるまでは未完成の手形であり、それによって手形上の権利を行使することはできない。
問題の所在(論点)
手形要件(受取人欄)が白地のままの状態である白地手形に基づき、手形上の権利を行使することができるか。
規範
白地手形は、後日手形要件の記載が補充されてはじめて完全な手形となるものであり、補充がなされるまでは未完成の手形にすぎない。したがって、手形要件が白地のままでは、手形上の権利を行使することはできないと解すべきである。
重要事実
上告人は、受取人欄が白地のままの状態である本件手形に基づき、手形上の権利を主張して請求を提起した。しかし、当該手形の受取人欄は、原審の最終口頭弁論期日に至るまで補充されないままであった。
あてはめ
本件手形は受取人欄が白地のままの「白地手形」の状態にある。白地手形は補充によって完全な手形となる未完成の手形であるところ、本件では原審の最終口頭弁論期日まで補充がなされていない。そうであれば、本件手形は依然として未完成の段階にあり、手形上の権利が確定していないといえる。したがって、有効な手形権利の行使に必要な要件を欠いていると評価される。
結論
手形要件が補充されない限り、上告人は本件手形によって手形上の権利を行使し得ないため、上告人の請求は排斥される。
実務上の射程
白地手形による権利行使(訴えの提起や差押え等)の可否に関する基本的判例である。裁判上の権利行使においては、事実審の口頭弁論終結時までに補充権を行使して手形を完成させる必要があることを示唆している。答案上は、手形の有効性や権利行使の前提条件を論じる際の基礎として用いる。
事件番号: 昭和37(オ)1089 / 裁判年月日: 昭和38年4月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】手形法14条の規定に照らし、白地裏書がなされた手形を取得した者は、白地を補充することなくそのまま更に裏書譲渡することが可能であり、白地補充の欠缺を理由に手形権利の行使が否定されることはない。 第1 事案の概要:上告人は、本件手形の裏書が白地裏書であったところ、その白地補充が欠けていることを理由に、…