確定日払の手形の所持人は、振出日白地のまま満期に支払のため呈示したとしても、裏書人に対する手形上の権利を行使することができない。
振出日白地の確定日払手形による呈示の効力
手形法1条,手形法38条,手形法43条
判旨
振出日が白地のままの手形は、満期に呈示しても裏書人に対する権利行使の条件を具備せず、後日の白地補充によりその呈示が遡及的に有効となることもない。確定日払の手形であっても、手形法の規定上、振出日の記載は有効な手形要件として不可欠である。
問題の所在(論点)
振出日の記載を欠く白地手形を、白地のまま満期に支払呈示した場合、裏書人に対する遡及権行使(手形金請求)の前提となる有効な呈示として認められるか。また、確定日払手形において振出日の記載がないことを理由に無効とすべきではないという主張は認められるか。
規範
手形法75条および76条は、約束手形における振出日の記載を必要とし、これを欠くものは原則として手形としての効力を有しない旨を定めている。手形制度は画一的取扱いにより取引の安全を保持すべきものであるから、法の明文がない限り、確定日払の手形であるか否かによって例外を認めるべきではない。したがって、白地手形の状態で支払呈示を行っても、遡って有効な権利行使となることはない。
重要事実
上告人(原告)は、振出日が白地のまま発行された各約束手形を取得した。上告人は、各手形の満期日に、振出日が白地の状態のまま支払場所において支払のための呈示を行った。その後、上告人は裏書人である被上告人(被告)に対し、手形金の支払を求めて提訴した。
あてはめ
本件各手形は振出日が記載されていない白地手形であり、手形法75条6号の要件を欠いている。上告人は、この不完全な状態のまま満期に支払呈示を行っているが、白地手形のままでは権利行使の条件が具備されていない。上告人は、確定日払手形においては権利内容確定に振出日の記載は不要であると主張するが、手形法は確定日払か否かで取扱いを区別しておらず、例外を認めるべき特段の理由もない。よって、白地補充がなされないまま行われた呈示は、後日の補充によっても遡及的に有効とはならない。
結論
振出日白地の手形による呈示は無効であり、裏書人に対する手形金請求は認められない。
実務上の射程
手形要件(特に振出日)を欠く白地手形については、補充権を行使して手形を完成させた上で呈示しなければ、遡及権を保全できないことを明確にした。答案上は、手形の厳格な要式性および取引の安全という観点から、白地手形による呈示の効力を否定する根拠として用いる。
事件番号: 昭和41(オ)329 / 裁判年月日: 昭和41年6月16日 / 結論: 棄却
受取人白地のままの約束手形によつては、手形金の請求をすることはできない。