農業協同組合が組合員以外の者に対し、組合の目的事業と全く関係のない土建業の人夫賃の支払のため金員を貸し付けた等原判示の事情(原判決理由参照)のもとにおいては、当該貸付は組合の目的の範囲内に属しないと解すべきである。
農業協同組合の金員貸付が組合の目的の範囲内に属しないとされた事例
民法43条,農業協同組合法10条
判旨
法人の目的範囲外の行為が無効とされる場合、その債務を主債務とする保証契約および抵当権設定契約も、附随性に基づき無効となる。
問題の所在(論点)
法人の目的範囲外の行為として消費貸借契約が無効となる場合に、その債務を主債務としてなされた保証契約および抵当権設定契約の効力はどうなるか。
規範
1. 法人の代表者が、法人の目的事業と無関係であり定款に違反することを承知で行い、かつ相手方もその事情を承知して取引を行った場合、当該行為は法人の目的範囲内に属しないことが明らかであり、無効となる。 2. 保証債務および担保権は主債務の存在を前提とする(附随性)ため、主債務となる契約が無効であれば、これらも当然に無効となる。
重要事実
農業協同組合(上告人)の代表理事B2が、組合員でないB1に対し、組合の目的事業と全く関係がなく定款に違反することを承知の上で金員を貸し付けた。借主B1もこの事情を承知して借入れを行った。この貸付債務につき、B2は保証人を引き受け、かつ自己所有の不動産に抵当権を設定した。その後、組合はB2に対し、保証債務の履行と抵当権設定登記手続を求めて提訴した。
あてはめ
本件貸付は、代表理事B2および相手方B1がいずれも組合の目的範囲外かつ定款違反であることを認識して行われたものであり、目的範囲外の行為として無効である。そうすると、当該貸付債務(主債務)は有効に成立していない。B2による保証および抵当権設定は、この無効な貸付債務を担保するためになされたものであるから、保証債務の附随性に基づき、保証契約および抵当権設定契約もまた無効といえる。なお、上告人は不当利得返還債権を担保する趣旨であったとも主張するが、事実認定上、あくまで特定の消費貸借上の債務を担保する目的であったと解される。
結論
主債務である消費貸借契約が目的範囲外の行為として無効である以上、その保証および抵当権設定も無効である。
実務上の射程
法人の目的範囲(民法34条)と、それに伴う担保契約の附随性に関する論述で用いる。主債務の無効が担保契約に波及する当然の帰結を示した判例として、短答・論文双方で重要である。
事件番号: 昭和42(オ)460 / 裁判年月日: 昭和42年12月15日 / 結論: 破棄差戻
かりに株式会社の清算手続が清算人ひとりですることができるとしても、その清算人は、特段の事情のないかぎり清算会社と取引することができず、これに違反する取引は無効である。