一 会社更生法第一五二条第一項にいう「執行力ある債務名義」とは、執行力ある正本と同一の効力をもち、直ちに執行をなしうるものであることを要し、執行文を要するものはすでに執行文を受けているものであることを要する。 二 更生担保権者表の記載は、更生決定によるときを除き、訴をもつて当該記載事項の無効を主張し、確定判決を得た後でなければ、訂正することができない。
一 会社更生法第一五二条第一項にいう「執行力ある債務名義」の意義 二 更生担保権者表に無効な記載がある場合における訂正方法
会社更生法152条,会社更生法145条,会社更生法144条
判旨
会社更生法上の有名義債権として取り扱われるためには、届出時等に執行文付与等の証拠資料を提出する必要があり、これなく確定した更生担保権者表の記載を有効に訂正するには、更正決定又は無効確認の確定判決等の適法な手続を要する。
問題の所在(論点)
1. 有名義債権としての取扱いを受けるために、届出時に執行文等の証拠提示を要するか。 2. 更生担保権者表に一度「確定額0」と記載された後、適法な更正・判決等の手続を経ずになされた訂正の効力。
規範
1. 有名義債権(更生担保権については、執行力ある債務名義又は終局判決のある債権を被担保債権とするもの)として調査期日の異議に伴う訴提起等の負担軽減を受けるためには、権利者は届出に際しその旨を明記して証拠資料を提出するか、遅くとも調査期日までに追完すべきである。なお、執行力ある債務名義とは、直ちに執行をなしうるものであることを要し、執行文を要するものは既に執行文を受けていることを要する。 2. 更生債権者表・更生担保権者表の記載は確定判決と同一の効力を有する。したがって、その記載を訂正するには、(1)明白な誤謬がある場合に更正決定(民訴法194条準用)を得るか、(2)記載が無効であるとして無効確認の確定判決を得る等、適法な手続を経ることを要し、これらを経ない訂正は効力を生じない。
重要事実
上告人は、更生担保権の届出に際し公正証書謄本を添付したが、執行文の付記はなく、有名義債権である旨の届出記載もしていなかった。調査期日において管財人が異議を述べたが、上告人は更生担保権確定の訴を提起しなかった。そのため、更生裁判所は当該債権を有名義債権とは認めず、確定額を「0」として更生担保権者表に記載した。その後、裁判所により確定額欄の記載が届出額に訂正されたが、この訂正は更正決定や無効確認判決といった適法な手続に基づかずになされたものであった。
あてはめ
1. 上告人の届出は、公正証書に執行文の付記がなく、直ちに執行をなしうる状態ではなかったため、有名義債権としての証拠資料の提出があったとはいえない。したがって、管財人の異議に対し確定の訴を提起しなかった以上、確定額を0とする扱いは適法である。 2. 本件における確定額「0」との記載には明白な誤謬はなく、また訂正にあたって更正決定や無効確認の確定判決等の手続が踏まれていない。ゆえに、事実上の経緯でなされた訂正は無効であり、確定判決と同一の効力を有する「確定額0」の記載が維持される。
結論
上告人は適法な更生担保権者としての資格を有しない。更生担保権者表の無効な訂正に基づき権利を主張することは認められない。
実務上の射程
更生債権・担保権の確定手続における「債務名義」の厳格な証明責任と、債権者表の記載の強い既判力(確定判決と同一の効力)を確認したものである。実務上、届出段階での執行文等の備えの重要性と、一度確定した表の訂正には厳格な法的倒叙(更正決定や訴訟)が必要であることを示す射程を有する。
事件番号: 昭和28(オ)351 / 裁判年月日: 昭和29年5月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民事上告において、原判決の事実認定の非難や、原審で主張・判断のない法令違背の主張は、上告受理の要件を満たさないため棄却される。 第1 事案の概要:上告人は、原判決の事実認定を非難し、あるいは訴訟法違背を主張して本件上告を申し立てた。また、上告理由の第八点においては、原審で主張も判断もされていない事…
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民訴法第四二〇条第一項但書後段にいう「之ヲ知リテ主張セサリシトキ」のなかには、当事者が、再審事由のあることを知りながら、上訴を提起しなかつた場合をも含むものと解すべきである。