会社において塗料製法の指導、研究に従事することを職務内容とするいわゆる嘱託であつて、直接上司の指揮命令に服することなく、また遅刻、早退等によつて資金が減額されることはない等一般従業員と異なる待遇を受けているいわゆる嘱託であつても、毎日ほぼ一定の時間会社に勤務し、これに対し所定の賃金が支払われている場合には、労働法の適用を受ける労働者と認めるべきである。
会社のいわゆる嘱託が労働者と認められた事例
労働基準法9条
判旨
嘱託契約であっても、勤務実態が時間的・場所的に拘束され、継続的な対価の支払を受けるなど指揮監督下の労働と認められる場合には、労働基準法上の労働者に該当し、就業規則の解雇制限条項が適用される。
問題の所在(論点)
嘱託契約に基づき特殊な専門的地位にある者が、労働基準法上の「労働者」に該当するか。また、その場合に就業規則の解雇条項が適用されるか。
規範
労働基準法上の労働者(労働契約法上の労働者)に該当するか否かは、契約の形式や名称にかかわらず、職務内容、指揮命令の有無、勤務時間・場所の拘束性、報酬の性格等の実態を総合考慮し、使用者の指揮監督下にあるといえるか(使用従属性)によって判断する。
重要事実
上告人(会社)と嘱託契約を締結した被上告人は、塗装機械の指導・研究を職務としていた。被上告人は「相談役」的な立場で、部長から直接の具体的指揮命令を受けず、遅刻・早退による給与減額もなかった。一方で、週6日間(午前9時から午後4時まで)勤務し、毎月一定の本給に加え、時給換算の2割5分増しで計算された残業手当の支払を受けていた。会社は就業規則の解雇事由に該当するとして被上告人を解雇した。
あてはめ
被上告人は、直接の指揮命令に服さない相談役的な立場にあり、遅刻等による減給もなかったため、一定の裁量を有していた。しかし、週6日・定時勤務という時間的・場所的拘束を受け、継続的に月額の本給および残業手当が支払われていた事実は、労働の対価としての性格が強い。したがって、形式上の嘱託という名称にかかわらず、実態として使用従属性が認められるため、労働法上の労働者に該当する。また、特殊な地位にある者であっても、解雇条項の適用を否定すべき特段の事情がない限り、就業規則の適用を受ける。
結論
本件嘱託契約は労働契約であり、被上告人は労働者に該当する。よって、就業規則の解雇事由に該当しない本件解雇は無効である。
実務上の射程
専門職や嘱託社員といった呼称であっても、勤務時間等の拘束性や報酬形態から使用従属性が肯定される場合は労働者性が認められるという、初期のリーディングケースとしての意義を持つ。答案上は、労働者性の判断において「時間的・場所的拘束性」と「報酬の対価性」を重視する文脈で活用すべきである。
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