米国の州によって同州港湾局の我が国における事務所の現地職員として雇用され,解雇された者が,雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認及び解雇後の賃金の支払を求めて提起した訴訟について,同事務所には我が国の厚生年金保険等が適用され,その業務内容は同州港湾施設の宣伝等であり,財政上の理由による同事務所の閉鎖が解雇理由とされていたなど判示の事実関係の下では,同人の解雇は私法的ないし業務管理的な行為に当たるところ,これを肯定しながら,上記訴訟が復職を主題とするものであるなど同州の主権的権能を侵害するおそれのある特段の事情があるから同州は我が国の民事裁判権から免除されるとした原審の判断には,違法がある。
米国の州によって同州港湾局の我が国における事務所の現地職員として雇用され,解雇された者が,雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認及び解雇後の賃金の支払を求めて提起した訴訟につき,同州は我が国の民事裁判権から免除されるとした原審の判断に違法があるとされた事例
民訴法第1編第2章 裁判所,国及びその財産の裁判権からの免除に関する国際連合条約11条,外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法律9条
判旨
外国国家等の私法的・業務管理的な行為については、民事裁判権の行使が当該国家の主権的権能を侵害するおそれがあるなどの特段の事情がない限り、わが国の民事裁判権は免除されない。
問題の所在(論点)
外国国家(の部局)による現地職員の解雇について、わが国の民事裁判権が及ぶか。特に、雇用関係の性質(私法的か否か)と、地位確認請求が主権を侵害する「特段の事情」に該当するかが問題となる。
規範
外国国家(米国の州を含む)が主体となる行為であっても、それが「私法的ないし業務管理的な行為」に当たる場合、わが国による民事裁判権の行使がその主権的な権能を侵害するおそれがあるなど「特段の事情」がない限り、民事裁判権から免除されない。雇用関係においては、公権力的な公務員法制の対象か、あるいは職務内容が主権的権能の行使に関わるか等を総合考慮して判断する。また、解雇無効を理由とする地位確認等の請求は、国連条約上の「復職(法的強制)」には当たらず、原則として免除の対象とならない。
重要事実
米国ジョージア州港湾局(被告)の日本事務所(極東代表部)で、現地職員として雇用されていた日本人(原告)が、事務所閉鎖に伴い解雇された。原告は解雇無効を主張し、雇用契約上の地位確認と賃金支払を求めて提訴した。原告の採用手続は口頭で行われ、日本の社会保険が適用されていた。極東代表部の業務は港湾施設の宣伝・利用促進であり、職員は代表者と原告の2名のみであった。
あてはめ
まず、本件雇用関係は口頭契約で日本の社会保険が適用されており、公務員法制の対象外である。また、業務内容は港湾施設の宣伝という商業的性格を有し、主権的権能の行使とはいえないため、私法的・業務管理的行為に当たる。次に、解雇の正当事由(事務所閉鎖の必要性や財政状況)を審理することは、直ちに主権の侵害には当たらない。原告の請求は、現実の就労を法的に強制するものではないため、国連条約が免除対象とする「復職」にも該当しない。したがって、裁判権を免除すべき特段の事情は認められない。
結論
被告の行為は私法的・業務管理的行為であり、主権を侵害する特段の事情も認められないため、わが国の民事裁判権が及ぶ。本件訴えを却下した原判決を破棄し、差し戻す。
実務上の射程
「対抗措置」等の国家の存立に関わる行為を除き、商行為や現地雇用などの私法的活動については、原則として日本の裁判権が及ぶという制限免除主義の流れを確定させた事案。答案上は、外国政府機関を被告とする訴訟の適法性(裁判権の有無)が問われた際、本件の「私法的・業務管理的行為」の枠組みと「特段の事情」の有無を検討する指針となる。
事件番号: 昭和34(オ)1281 / 裁判年月日: 昭和36年4月27日 / 結論: 棄却
不当労働行為が成立しないとする裁判所の判断としては、解雇が正当な組合活動を理由とするものでない旨を証拠によつて認定判示すれば足り必らずしも、解雇が正当な組合活動以外のいかなる事由によつてなされたものであるかを判示しなければならないものではない。
事件番号: 平成15(受)1099 / 裁判年月日: 平成18年3月28日 / 結論: 破棄自判
使用者の責めに帰すべき事由による解雇の期間中の賃金につき使用者が支払義務を負う金額を算定する場合において,労働者が同期間中に他の職に就いて得た利益の額が当該利益を得た期間における平均賃金合計額の4割を超え,かつ,使用者が労働者に対し労働基準法12条4項所定の賃金に当たる期末手当及び勤勉手当を支払うこととされているという…