ユニオン・ショップ協定のうち、締結組合以外の他の労働組合に加入している者及び締結組合から脱退し又は除名されたが他の労働組合に加入し又は新たな労働組合を結成した者について使用者の解雇義務を定める部分は、民法九〇条により無効である。
ユニオン・ショップ協定の効力
憲法28条,民法90条,労働組合法2章,労働組合法3章
判旨
ユニオン・ショップ協定に基づき、締結組合から脱退・除名されたが他の労働組合に加入した労働者を解雇する義務を定める部分は、組合選択の自由等を侵害する範囲で民法90条により無効であり、これに基づく解雇は解雇権濫用として無効となる。
問題の所在(論点)
ユニオン・ショップ協定に基づき、締結組合を脱退して他の組合に加入した労働者を解雇することが、公序良俗(民法90条)に反して無効となるか。また、その解雇が解雇権の濫用(労働契約法16条参照)にあたるか。
規範
ユニオン・ショップ協定は、労働者の組合選択の自由及び他の組合の団結権(憲法28条)を侵害する場合には許されない。したがって、締結組合以外の他組合に加入している者、または締結組合を脱退・除名されたが他組合に加入・結成した者について使用者の解雇義務を定める部分は、民法90条により無効である。この場合、解雇義務が生じないにもかかわらずなされた解雇は、特段の事情がない限り客観的に合理的な理由を欠き、解雇権濫用として無効となる。
重要事実
海上コンテナトレーラー運転手である被上告人らは、会社と参加人組合との間に、組合を脱退・除名された者を解雇する旨のユニオン・ショップ協定が締結されている状況下で、参加人組合を脱退して即座に別の労働組合(D労働組合E支部)に加入した。これを受けた会社は、協定に基づき被上告人らを解雇した。被上告人らは、当該解雇が無効であるとして争った。
事件番号: 昭和62(オ)515 / 裁判年月日: 平成元年12月21日 / 結論: 棄却
ユニオン・ショップ協定のうち、締結組合以外の他の労働組合に加入している者及び締結組合から脱退し又は除名されたが他の労働組合に加入し又は新たな労働組合を結成した者について使用者の解雇義務を定める部分は、民法九〇条により無効である。
あてはめ
被上告人らは参加人組合を脱退した直後に他組合へ加入しており、組合選択の自由を行使している。この場合、前述の規範に照らせば、本件ユニオン・ショップ協定のうち被上告人らに対する解雇義務を定める部分は民法90条により無効である。したがって、会社には協定上の解雇義務が生じておらず、他に解雇の合理性を裏付ける特段の事由も認められない。よって、本件解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当なものとは認められない。
結論
本件各解雇は、解雇義務が生じていないのにされたものであり、解雇権の濫用として無効である。
実務上の射程
労働者の「組合選択の自由」と「他組合の団結権」を重視し、組織強制の限界を画した重要判例である。答案上は、ユニオン・ショップ協定自体の有効性を認めた上で、他組合加入者への「射程の限定(一部無効)」を論ずる文脈で使用する。解雇権濫用の検討に際し、前提となる解雇義務の存否を民法90条から導く構成をとるべきである。
事件番号: 昭和36(オ)190 / 裁判年月日: 昭和37年7月20日 / 結論: 棄却
使用者の責に帰すべき事由によつて解雇された労働者が解雇期間内に他の職について利益を得た場合、使用者が、労働者に解雇期間中の賃金を支払うにあたり、右利得金額を賃金額から控除することはできるが、その限度は、平均賃金の四割の範囲内にとどめるべきである。
事件番号: 平成20(受)6 / 裁判年月日: 平成21年10月16日 / 結論: 破棄差戻
米国の州によって同州港湾局の我が国における事務所の現地職員として雇用され,解雇された者が,雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認及び解雇後の賃金の支払を求めて提起した訴訟について,同事務所には我が国の厚生年金保険等が適用され,その業務内容は同州港湾施設の宣伝等であり,財政上の理由による同事務所の閉鎖が解雇理由とさ…