休止期間経過前に期日指定申立書が提出された場合には、たとえ申立書に法定の印紙が貼用されていない場合でも、裁判所が民事訴訟用印紙法第一一条により印紙を貼用させるかどうかにつき考慮を払わないかぎり、休止満了の効果は確定的に生ずるに至つていないものと解すべきである。
休止期間経過前に印紙の貼用されていない期日指定の申立書が提出されていた場合と休止満了の効果の発生の有無。
民訴法238条,民訴法363条2項,民事訴訟用印紙法11条
判旨
当事者が提出した書面の文言から期日指定の申立てと認められる場合、たとえ印紙の貼用がなくても、裁判所は補正を促すべきであり、当該申立てを無視して控訴取下げ擬制を認めることはできない。
問題の所在(論点)
当事者が提出した書面が期日指定の申立てと解しうる場合、裁判所は印紙の不備を理由にこれを無視し、取下げ擬制(現行法263条)を認めることができるか。
規範
当事者から提出された書面が、その文言に照らして口頭弁論期日指定の申立てと認められる場合には、有効な申立てとして扱うべきである。また、当該書面に法定の印紙の貼用がない場合であっても、裁判所は直ちにこれを排斥せず、民事訴訟用印紙法(現行の民事訴訟費用等に関する法律)に基づき、相当の印紙を貼用させるべき義務を負う。
重要事実
控訴審において、控訴の取下げがあったものとみなされる期間(旧民事訴訟法238条、現行263条参照)が満了する前に、上告人は原裁判所に対して複数の書面を順次提出していた。これらの書面は、文言上、口頭弁論期日指定の申立てと認められるものであったが、法定の印紙は貼用されていなかった。原審は、これらの書面に対し何ら考慮を払うことなく返戻し、期日指定の申立てがあった事実を認められないとして、控訴取下げ擬制により訴訟が終了したと判断した。
事件番号: 昭和33(オ)406 / 裁判年月日: 昭和34年1月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】農地転用許可は、住居の安定等の諸利益を考慮した上で裁量権の逸脱がない限り適法であり、既に事実上転用された農地に対する許可も、将来に向けた違法状態の消滅という効果を有する以上、不能の行政処分として無効になることはない。 第1 事案の概要:上告人らが受けた農地法に基づく転用許可処分に対し、当該土地が既…
あてはめ
上告人が提出した書面は、その文言に徴すればいずれも書面による口頭弁論期日指定の申立てと認められる。印紙の貼用がない点については、裁判所は相当の印紙を貼用させる補正の手続きを講じるべきであった。それにもかかわらず、原審が右書面を考慮せず返戻した上で、期日指定の申立ての事実を認め難いとした判断は、客観的事実に反する。したがって、控訴取下げとみなされる期間が満了したか否かは未だ確定していないというべきである。
結論
原判決には期日指定の申立てに関する事実認定および取下げ擬制の解釈に違法があるため、原判決を破棄し、差し戻す。
実務上の射程
訴訟終了事由としての取下げ擬制が争われる場面で、当事者の手続続行の意思(期日指定申立て)が書面に現れている場合の裁判所の釈明・補正義務を基礎付ける。形式的な不備(印紙不足)があっても直ちに申立てを無効として取下げ擬制を認めるべきではないという実務上の指針となる。
事件番号: 昭和30(オ)670 / 裁判年月日: 昭和32年2月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事実認定における証拠の取捨選択は裁判所の自由裁量に委ねられており、引用された証拠から認定事実が導き出せる限り、採証法則違反の違法は認められない。 第1 事案の概要:農地遡及買収の基準日(昭和20年11月23日)時点における本件農地の所有者が誰であったかが争点となった事案である。原審は、証拠に基づき…
事件番号: 昭和28(オ)451 / 裁判年月日: 昭和34年1月29日 / 結論: 棄却
同一土地につき二個の買収計画が並存することは相当でなく、両計画をともに取り消した上で新たに買収計画を定むべきであるとの理由で、町農業委員会の定めた農地買収計画を取り消す旨の訴願裁決があつた場合、町農業委員会が右趣旨に従い右土地につき再度買収計画を定めることは、訴願法第一六条に違反するものではない。