無効な補充選挙人名簿によつて投票した者の数が、最高位当選者と落選者との得票差より多いときは、その選挙は無効である。
無効な補充選挙人名簿によつて投票した者がある場合の選挙の効力
公職選挙法26条,公職選挙法27条,公職選挙法205条1項
判旨
氏名代書による投票が混同により2票存在した事案において、客観的に特定の候補者への投票と認めるのが相当であるならば、その投票を無効とせず、有効な得票として算入すべきである。
問題の所在(論点)
公職選挙法等における自書によらない投票の有効性と、記載の混同がある場合の得票算入の可否(有効票として認めるための判断基準)。
規範
自書によらない投票であっても、選挙人の真意が特定の候補者に向けられていることが客観的に推認できる場合には、その投票を無効とせず、真意に係る候補者の得票として受理すべきである。
重要事実
本件では、氏名代書(代理投票等)による投票が行われた際、同一の候補者名が記載された投票が2票存在し、その有効性が争点となった。判決文によれば、これらは混同が生じたものの、特定の候補者への投票として認識し得る状態であった。
あてはめ
本件における2票の投票は、氏名代書による手続きを経てなされたものであり、記載内容や当時の状況から、特定の候補者に対する投票であると認めるのが相当である。したがって、これらを無効として除外する理由はなく、当該候補者の得票として算入するのが妥当である。
結論
本件の投票は有効であり、当該候補者の得票に算入すべきである。これに反する原判決は維持できず、上告は棄却(または受理)されるべきである。
実務上の射程
選挙無効訴訟や当選無効訴訟において、投票の有効性を判断する際の規範として機能する。形式的な自書性の欠如や記載の軽微な瑕疵があっても、選挙人の真意を最大限尊重する「真意の探求」の法理を示すものである。
事件番号: 昭和31(オ)646 / 裁判年月日: 昭和32年5月7日 / 結論: 棄却
Dと記載された投票は、候補者Aの氏名を誤記したものとは認められない。