非訟事件手続法第一三二条第二項の規定は憲法第三二条に違反しない。
非訟事件手続法第一三二条第二項の合憲性
非訟事件手続法132条2項,憲法32条
判旨
憲法は、最高裁判所が終審裁判所であることを定める81条以外に審級制度に関する規定を置いていないため、審級制度の具体的内容は立法府の裁量に委ねられている。したがって、特別抗告を制限する非訟事件手続法の規定は憲法32条に違反しない。
問題の所在(論点)
審級制度の設計に関する立法府の裁量の有無、および非訟事件手続法132条2項による抗告制限が憲法32条(裁判を受ける権利)に違反するか否か。
規範
憲法は、最高裁判所が終審裁判所であること(憲法81条)を除き、審級制度をいかにすべきかについて規定を置いていない。したがって、審級制度の具体的な設計は立法政策の範囲内であり、法律をもって適宜定めるべき事項である。
重要事実
抗告人らが、非訟事件手続法132条2項の規定(再抗告・特別抗告の制限に関する規定)が、裁判を受ける権利を保障する憲法32条に違反するとして争った事案である。
あてはめ
事件番号: 昭和33(ク)118 / 裁判年月日: 昭和33年5月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】審級制度の構成は憲法81条が定める違憲審査権の行使を除き、立法府の広範な裁量に委ねられている。したがって、特別抗告の受理に際して原裁判所が憲法違反の主張の有無のみを判断する仕組みも、裁判を受ける権利を定めた憲法32条に違反しない。 第1 事案の概要:抗告人は、原裁判所が民事訴訟法(旧法)に基づき、…
憲法上、審級制度の詳細は立法委ねられており、最高裁判所が終審として機能する仕組みが維持されている限りにおいて、下級審の裁判に対する不服申立てを制限することは許容される。本件の非訟事件手続法の規定も、このような立法の適宜の定めとして憲法の許容範囲内にあるといえる。
結論
非訟事件手続法132条2項は憲法32条に違反しない。したがって、本件抗告は棄却される。
実務上の射程
「審級の利益」が憲法上直接保障されるものではなく、立法裁量に属することを論証する際に引用する。特に裁判を受ける権利(32条)の限界や、訴訟手続の合理化を目的とした上訴制限の合憲性を検討する場面で有用な判例である。
事件番号: 昭和31(ク)47 / 裁判年月日: 昭和31年3月27日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告を特別抗告のみに限定することは立法政策の問題であり、憲法32条に違反しない。また、審級制度の構成は憲法81条の場合を除き立法府の裁量に委ねられている。 第1 事案の概要:抗告人らが、高等裁判所のなした決定に対し最高裁判所に抗告を申し立てた事案。抗告人は憲法違反を主張の根拠とし…
事件番号: 昭和31(ク)5 / 裁判年月日: 昭和31年8月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧民事訴訟法419条ノ2第2項(現行法の特別抗告の要件に関連する規定)は、憲法に違反しない。したがって、同条項に基づき抗告を不適法として却下した判断に違憲の疑いはない。 第1 事案の概要:抗告人は、旧民事訴訟法419条ノ2第2項の規定に基づき、その抗告を不適法として却下された。これに対し抗告人は、…
事件番号: 平成10(ク)379 / 裁判年月日: 平成10年7月13日 / 結論: 棄却
抗告許可申立ての対象とされる裁判に法令の解釈に関する重要な事項が含まれるか否かの判断を高等裁判所にさせることとしている民訴法三三七条の規定は、憲法三一条、三二条に違反しない。
事件番号: 昭和46(ク)419 / 裁判年月日: 昭和46年12月21日 / 結論: 棄却
強制競売における競落許可決定およびその抗告審の決定をなすにつき、口頭弁論または当事者の審尋を経ないでも、憲法三二条、八二条の規定に違反するものではない。