商法第五五一条の「物品」中には、有価証券を包含する。
商法第五五一条の「物品」と有価証券
商法551条
判旨
商法551条に規定される「物品」には有価証券が含まれると解するのが相当であり、有価証券の売買の引受けを行う者は商法上の問屋に該当する。
問題の所在(論点)
商法551条に規定される問屋の目的物である「物品」に、有価証券(株式等)が含まれるか。また、有価証券の買付けを業とする者に問屋に関する規定が適用されるか。
規範
商法551条の「物品」には、動産のみならず有価証券も包含される。したがって、自己の名をもって他人のために有価証券の販売又は買入れをすることを業とする者は、同条の問屋にあたる。
重要事実
上告人(委託者)は、被上告会社(受託者)の支店に対し、D重工業新株の買付けを委託した。その際、買付値段および時期についても同支店に一任していた。被上告会社は当該委託に基づき株式の買付けを行ったが、上告人が新株買付代金債務を履行しなかったため、紛争となった。上告人は、株式は商法551条の「物品」にあたらず、被上告会社は問屋ではない等と主張して争った。
あてはめ
商法551条の「物品」は、広く商取引の対象となる有体物を指すところ、有価証券もまた流通性を有し、商取引の目的となるものである。本件において、上告人は株式の買付けを被上告会社に委託しており、被上告会社は自己の名をもってこれを行っている。したがって、対象が株式という有価証券であっても、同条の「物品」の売買を営業とする者に該当し、被上告会社は問屋としての地位を有する。また、上告人は買付値段や時期を委託先に一任しており、委託買付け自体に異議を述べていない以上、問屋としての義務履行に瑕疵はない。
結論
商法551条の「物品」には有価証券が含まれる。よって、株式の買付けを引き受けた被上告会社は問屋であり、上告人は買付代金の支払義務を免れない。
実務上の射程
証券会社等の金融商品取引業者が行う顧客のための有価証券売買が、商法上の問屋(551条以下)に該当することを基礎付ける重要な判例である。答案上は、株式や社債等の有価証券の売買委託に関する事例において、問屋規定の適用の前提となる「物品」の意義を解釈する際に本判例を引用すべきである。
事件番号: 昭和42(オ)231 / 裁判年月日: 昭和42年11月17日 / 結論: 棄却
他人の承諾を得てその名義を用いて株式の引受がされた場合においては、名義貸与者ではなく、実質上の引受人が株主となるものと解すべきである。