選挙に際し政党が発表宣伝した政策がかりに実現不可能、無責任なものであつても、そのために選挙を無効とすべきではない。
政党の政策の発表宣伝と選挙の効力
公職選挙法205条1項
判旨
政党が選挙に際して客観的に実行不可能かつ無責任な政策を宣伝したとしても、その良否は選挙人の取捨判断に委ねられるべき事項であり、直ちに選挙の自由公正を害するものとはいえない。
問題の所在(論点)
政党が選挙に際して不可能な政策を宣伝することが、選挙の自由公正の原則を阻害し、選挙の無効事由(公職選挙法204条等参照)に該当するか。
規範
政党が掲げる政策の実行可能性や責任の有無、および政策の最善性の判断は、選挙人各自の良識に基づく自由な採否に委ねられるべきである。したがって、政策の発表・宣伝が直ちに選挙人の自由意思を不当に拘束し、選挙の自由公正を阻害するとは解されない。
重要事実
上告人は、各政党が選挙に際して、客観的に実行不可能であり、かつ無責任な政策を発表・宣伝したと主張した。この行為は選挙人を欺罔して投票させるものであり、選挙の自由公正の原則を著しく阻害するものであるから、当該選挙は無効であると訴えた。
あてはめ
事件番号: 昭和30(オ)445 / 裁判年月日: 昭和30年8月9日 / 結論: 棄却
選挙に関する新聞記事の記載が公職選挙法第一四八条第一項但書に違反しても、その違反は同法第二〇五条にいう選挙の規定違反ではなく、選挙無効の原因にはならない。
各政党の政策が実行不可能かつ無責任であるか否かは、選挙人がその良識に照らして判断すべき事柄である。選挙人は自己の自由意思に基づき、提供された情報の良否を取捨選択し、信頼する候補者に投票することが可能である。そうであれば、特定の政策宣伝がなされたとしても、それが選挙人の自由な意思決定を妨げ、選挙の自由公正を害しているとは評価できない。
結論
政策の発表・宣伝によって選挙の自由公正が害されたとはいえず、選挙は無効ではない。
実務上の射程
選挙無効訴訟において、自由公正原則の侵害を主張する場合の限界を示す。公職選挙法上の「選挙の規定に違反」する事実の有無以前に、政策論争の内容自体は司法審査の対象になじまない(選挙人の判断に委ねるべき)という政治的自由の尊重が示されている。
事件番号: 昭和30(オ)919 / 裁判年月日: 昭和31年2月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公職選挙法205条1項に基づく選挙無効の原因は、原則として選挙の管理執行に関する規定の違反を指し、個々の選挙人による違法行為は直ちにこれに含まれない。 第1 事案の概要:判決文からは詳細な事案(特定の選挙の種類や具体的な違反行為の内容)は不明であるが、選挙人による個々の規定違反が行われた場合に、そ…
事件番号: 昭和24(オ)321 / 裁判年月日: 昭和25年9月8日 / 結論: その他
一 権限のない者によつて選任せられた投票立会人の立会について、投票管理者が異義を述べなかつたからといつて、右の投票立会人が投票立会人としての資格を具有するに至るものと解することはできない。 二 ある村の選挙を全部無効とし改めて適法な手続によつて選挙をやりなおすにおいては、その村の属する選挙区における候補者の当落に異動を…