妻が有効に離婚が成立したものと信じて、他の男子と婚姻をなした後、先夫から前婚についての離婚無効確認および後婚についての婚姻取消の訴を提起せられ、右各訴はいずれも妻の敗訴に確定した場合であつても、前婚につき、婚姻を継続し難い重大な事由があることを理由として、妻が離婚の訴を提起することを妨げるものではない。
前婚につき離婚無効、後婚につき婚姻取消の確定判決をうけた者のなす前婚についての離婚の訴の許否
民法770条,民法765条,民法742条,民法732条
判旨
離婚届出無効の確定判決や他者との婚姻取消の確定判決が存在する場合であっても、それとは別に民法770条1項5号所定の「婚姻を継続しがたい重大な事由」を理由として離婚を請求することは妨げられない。
問題の所在(論点)
離婚届出無効の確定判決や、第三者との婚姻取消の確定判決がある場合に、それとは別に民法770条1項5号の「婚姻を継続しがたい重大な事由」を理由として離婚を請求することが許されるか。
規範
民法770条1項5号に基づく離婚請求の可否は、他の身分関係に関する確定判決(離婚届出無効や婚姻取消等)の存在に拘束されるものではなく、当該夫婦間における実態としての婚姻関係が破綻し、回復の見込みがないといえる「婚姻を継続しがたい重大な事由」の有無によって独立に判断される。
重要事実
被上告人と上告人の間には、過去に離婚届出が無効であるとの確定判決が存在し、また被上告人と訴外Dとの間の婚姻を取り消すとの確定判決も存在していた。しかし、被上告人はこれらとは別に、上告人との間に婚姻を継続しがたい重大な事由があるとして、改めて離婚を求める訴えを提起した。
あてはめ
過去に離婚届出が無効とされ法律上の婚姻関係が維持されていることや、重婚的状態にあった後婚が取り消された事実は、いずれも現在の夫婦関係の実態を否定するものではない。原審の認定によれば、本件当事者間には客観的に婚姻関係の破綻が認められる事実関係が存在しており、上記のような確定判決の存在を理由に離婚請求権の行使が制限される特段の事情は認められない。したがって、法定離婚事由の存否は別個独立に判断されるべきである。
結論
別件の確定判決の有無にかかわらず、婚姻を継続しがたい重大な事由がある場合には、離婚請求は認められる。
実務上の射程
先行する身分関係の紛争(離婚無効等)があっても、婚姻破綻の実態がある限り、離婚原因として主張可能であることを示す。既判力や信義則による遮断が問題となる場面での反論として有用である。
事件番号: 昭和34(オ)193 / 裁判年月日: 昭和37年3月15日 / 結論: 棄却
離婚の場合の慰藉料については、当事者の地位、年齢、財産関係その他諸般の事情を斟酌して決定すべきであるから、当事者の収入のほか扶養料の支払を命ずる審判がなされていることを斟酌したからといつて違法であるとはいえない。
事件番号: 昭和31(オ)524 / 裁判年月日: 昭和35年6月17日 / 結論: 棄却
妻が醜業に従事したことがあつても、原審認定のような事情(原判決理由参照)がある場合は、夫からのこれを理由とする離婚の請求は許されない。