罹災都市借地借家臨時処理法第一〇条による借地権の対抗を受ける第三者の中には、当該土地について借地権を取得しその上に登記した建物を所有する者をも含む。
罹災都市借地借家臨時処理法第一〇条にいう第三者の範囲
罹災都市借地借家臨時処理法10条,建物保護ニ関スル法律1条
判旨
罹災都市借地借家臨時処理法10条により対抗力を有する借地権者は、その対抗を受ける第三者(当該土地の二重借地権者等)に対し、土地賃借権に基づき、地上建物の収去および土地の明渡しを請求することができる。
問題の所在(論点)
1. 罹災都市借地借家臨時処理法10条による借地権の対抗を受ける「第三者」の範囲に、当該土地上に登記ある建物を所有する借地権者が含まれるか。2. 対抗力を有する土地賃借権に基づき、第三者に対して建物収去土地明渡を請求できるか。
規範
罹災都市借地借家臨時処理法10条に基づく借地権の対抗を受ける「第三者」には、当該土地について借地権を取得し、その上に登記した建物を所有する者も含まれる。また、対抗力を有する土地賃借権を有する者は、その対抗を受ける第三者に対して、物権的請求権に準じて、地上建物の収去および土地の明渡しを請求することが可能である。
重要事実
上告人(被告)は、罹災都市にある土地について借地権を取得し、その上に建物を築造して保存登記を備えていた。他方、被上告人(原告)は、同法10条の規定に基づき、当該土地について対抗力を有する借地権を有していた。被上告人は、上告人に対し、土地賃借権に基づいて建物の収去および土地の明渡しを求めて提訴した。上告人側は、同法10条の「第三者」に建物登記を備えた借地権者は含まれない、あるいは賃借権に基づく明渡請求は認められない旨を主張して争った。
事件番号: 昭和28(オ)761 / 裁判年月日: 昭和29年10月7日 / 結論: 棄却
一 土地の賃借権の共同相続人の一人が賃貸人の承諾なく他の共同相続人からその賃借権の共有持分を譲り受けても、賃貸人は、民法第六一二条により賃貸借契約を解除することはできないものと解するのが相当である。 二 戦時罹災土地物件令第三条の適用を受ける土地賃借権を有する者は、罹災後当該土地を所有者から賃借しこれに建物を建ててその…
あてはめ
1. 同法10条が罹災借地権者の保護を目的としていることに鑑みれば、同条の「第三者」から建物登記を備えた借地権者を除外すると、法の精神が没却される。したがって、上告人のような建物登記ある借地権者も「第三者」に含まれると解するのが相当である。 2. 被上告人の賃借権は対抗力を有しており、その対抗力を受ける上告人に対しては、賃借権の円満な利用を妨げる建物を収去させ、土地の占有を回復させるための明渡請求をなしうる(過去の最高裁例に則した判断)。
結論
被上告人の請求を認容し、上告人による本件建物の収去および土地の明渡しを命じた原判決は正当である。
実務上の射程
借地権の対抗力の有無が争点となる事案において、対抗力を備えた賃借権が物権的請求権(妨害排除・返還請求)に準ずる効力を有することを確認する際に引用すべき判例である。特に二重借地のような事案でも、対抗力の優劣により明渡請求が可能であることを示している。
事件番号: 昭和31(オ)259 / 裁判年月日: 昭和33年3月25日 / 結論: 棄却
賃借権に基き土地の引渡を求める給付訴訟が係属しても、その基本たる賃借権の存否内容につき即時確定の利益の認められる限り、賃借権確認の訴は許されるものと解すべきである。
事件番号: 昭和35(オ)28 / 裁判年月日: 昭和35年9月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】賃貸人の地位を承継した者が、合意解約の成立していない賃貸借物件の賃借権の存在を否認している場合には、賃借人は賃貸人に対し賃借権の確認を求める利益を有する。また、賃貸人の買受の意図がどうあれ、適法に存続する賃借権を主張することは権利の濫用には当たらない。 第1 事案の概要:被上告人(賃借人)は本件宅…