一 土地の賃借権の共同相続人の一人が賃貸人の承諾なく他の共同相続人からその賃借権の共有持分を譲り受けても、賃貸人は、民法第六一二条により賃貸借契約を解除することはできないものと解するのが相当である。 二 戦時罹災土地物件令第三条の適用を受ける土地賃借権を有する者は、罹災後当該土地を所有者から賃借しこれに建物を建ててその占有をなす第三者に対し、直接その建物の収去および土地の明渡を請求することができる。
一 賃借権の共同相続人の一人が賃貸人の承諾なく他の共同相続人から共有持分の譲渡を受けた場合と民法第六一二条 二 戦時罹災土地物件令第三条の適用を受ける土地賃借権と妨害排除請求の許否
民法612条,民法601条,民法第3編第1章第2節,戦時罹災土地物件令3条,戦時罹災土地物件令6条
判旨
戦時罹災土地物件令6条に基づく借地権の対抗力について、同条の規定により第三者に対抗し得るとした原審の判断は正当である。
問題の所在(論点)
戦時罹災土地物件令6条に基づく借地権の対抗力が認められるか、および罹災都市借地借家臨時処理法10条との関係が問題となった。
規範
戦時罹災土地物件令6条に基づき、罹災した土地の借地権者は、同条に定める要件を充足する場合には、その借地権を第三者に対抗することができる。
重要事実
上告人らは、本件土地の所有権者またはそれに基づく権利を主張している。これに対し、被上告人側は本件土地について借地権を有しており、戦時罹災土地物件令6条(または罹災都市借地借家臨時処理法10条)に基づく対抗力を主張した。原審は、本件借地権が戦時罹災土地物件令6条により上告人らに対抗し得る旨を判示し、上告を退けた。
事件番号: 昭和30(オ)859 / 裁判年月日: 昭和31年6月1日 / 結論: 棄却
罹災都市借地借家臨時処理法第一〇条による借地権の対抗を受ける第三者の中には、当該土地について借地権を取得しその上に登記した建物を所有する者をも含む。
あてはめ
原判決は、本件借地権について罹災都市借地借家臨時処理法10条ではなく、戦時罹災土地物件令6条を適用して対抗力の有無を判断している。最高裁は、この物件令6条の解釈および同条による対抗力の認定を正当と認め、上告人らの法令違背の主張を退けた。
結論
本件借地権は、戦時罹災土地物件令6条により対抗力を有し、上告人らの請求は認められない。
実務上の射程
戦後直後の特別法による対抗力の特例に関する判断である。現代の司法試験実務において直接参照される機会は極めて少ないが、建物滅失後の対抗力維持に関する法制度の歴史的背景を理解する上での資料となる。答案上は、特別法による公示の代用という枠組みで理解される。
事件番号: 昭和27(オ)306 / 裁判年月日: 昭和29年6月17日 / 結論: 棄却
罹災都市借地借家臨時処理法第二条に基く賃借権は当然対抗力をそなえ賃借権者は、これを侵害する者に対し妨害排除を請求することができる。
事件番号: 昭和30(オ)166 / 裁判年月日: 昭和31年9月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】賃借権は一個の債権として放棄することが可能であり、当事者間に賃貸借契約の合意解除が成立したと認められる場合には、当該借地権は消滅する。 第1 事案の概要:上告人は、いわゆる第六次強制疎開に際し、東京都から本件土地についての借地権喪失に対する補償を受けた。その後、上告人は当該借地権を放棄する意思を示…
事件番号: 昭和26(オ)658 / 裁判年月日: 昭和29年2月5日 / 結論: 破棄差戻
賃借権が債権であるというだけの理由で、賃借権に基く妨害排除の請求を排斥するのは違法である。
事件番号: 昭和27(オ)1088 / 裁判年月日: 昭和32年1月31日 / 結論: 破棄差戻
罹災都市借地借家臨時処理法第一〇条の適用を受ける罹災建物の敷地の借地権者は、必ずしも、右建物の滅失当時、その借地権または建物につき登記を有した者に限らないと解すべきである。