賃借権が債権であるというだけの理由で、賃借権に基く妨害排除の請求を排斥するのは違法である。
賃借権に基く妨害排除請求
民法第3編第1章第2節,民法601条
判旨
対抗要件を具備した土地賃借権は、債権であっても物権的効力を有するため、第三者による侵害に対して妨害排除請求をなすことができる。
問題の所在(論点)
対抗要件を備えた不動産賃借権に基づき、賃借人が第三者に対して直接に妨害排除請求権を行使することができるか。
規範
土地賃借権が登記その他の対抗要件を具備した場合には、その賃借権はいわゆる物権的効力を有する。したがって、賃借人はその土地につき権利を取得した者を含む第三者に対し、賃借権に基づいて直接に妨害排除の請求をすることが認められる。
重要事実
土地賃借人である上告人が、第三者による土地の侵害を排除するために賃借権に基づく妨害排除請求を求めて提訴した事案。原審(東京高裁)は、土地賃借権は債権であるという理由のみをもって、第三者に対してその侵害排除を求めることはできないと判断した。
あてはめ
本件における具体的な対抗要件の有無や侵害の態様は判決文からは不明であるが、一般に登記等の対抗要件を具備した賃借権は、単なる債権を超えた物権的効力が認められるべきである。そのため、原審が「賃借権は債権であるから」という形式的理由のみで侵害排除を否定した点は、賃借権の物権化という法理を誤ったものと解される。
結論
対抗要件を具備した土地賃借権に基づき、第三者に対して妨害排除を求めることは可能である。よって、原判決を破棄し、差し戻す。
実務上の射程
本判決は、民法605条の4が新設される以前に賃借権に基づく妨害排除請求を認めた重要な先例である。答案上は、賃借権の対抗要件具備を前提に「物権的効力」を認める根拠として引用する。なお、現在は民法605条の4が対抗要件を具備した賃借人の妨害排除請求権を明文化しているため、条文の趣旨を補強する形で言及するのが実務的である。
事件番号: 昭和27(オ)306 / 裁判年月日: 昭和29年6月17日 / 結論: 棄却
罹災都市借地借家臨時処理法第二条に基く賃借権は当然対抗力をそなえ賃借権者は、これを侵害する者に対し妨害排除を請求することができる。
事件番号: 昭和28(オ)761 / 裁判年月日: 昭和29年10月7日 / 結論: 棄却
一 土地の賃借権の共同相続人の一人が賃貸人の承諾なく他の共同相続人からその賃借権の共有持分を譲り受けても、賃貸人は、民法第六一二条により賃貸借契約を解除することはできないものと解するのが相当である。 二 戦時罹災土地物件令第三条の適用を受ける土地賃借権を有する者は、罹災後当該土地を所有者から賃借しこれに建物を建ててその…
事件番号: 昭和26(オ)127 / 裁判年月日: 昭和28年9月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】権利の放棄は、これにより直接利益を受ける者に対する意思表示によってなされるべきであり、判決言渡期日の変更通知を欠いた手続違背があっても、当事者に具体的な不利益が生じていない限り上告理由にはならない。 第1 事案の概要:上告人は、判決言渡期日の変更に関する通知を受けないまま、変更後の期日において判決…