鰮網漁業を営むD網が「当初網を設立する際特定の社内が金銭、或は漁業に必要な設備、資材を出資したか否かに関係なく、設立後においては漁業経営に必要な施設及び資材は社内全員の権利(持分は平等)に属するものとされており、また、特定の者が社内となる場合には、他の社内全員の承認あれば足り、金銭その他の財産を出資することを要せず、また社内を辞任し脱退する場合にも他の社内全員の承認を得れば足り脱退と同時に漁業経営に必要なる施設、資材に対する権利を当然喪失しその際持分を金銭に評価してこれを払戻す等のことをしていない」ものとすれば、右D網は、著しく組合の性質に反し、これを組合に類似するものとして社内が、その施設、資材に対し持分を有することを肯定したのは違法である。
民法上の組合に類似するものとしてその財産に対し持分を肯定したことが違法とされた事例
民法667条,民法668条
判旨
民法上の組合は、各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによって成立するため、出資を要件とせず、脱退時に持分の払戻しも行わない組織形態は、組合としての性質を著しく欠く。
問題の所在(論点)
出資を要件とせず、かつ脱退時の持分払戻しも予定していない漁業組織について、民法上の組合(またはそれに類する団体)としての性質を認め、構成員に資産の持分権を認めることができるか。
規範
民法上の組合(民法667条1項)が成立するためには、各当事者が出資をなし、かつ、共同の事業を営むことを約することが必要である。したがって、特定の事業組織が組合またはそれに類似するものと解するためには、構成員による出資の存在や、脱退時における持分権の精算(払戻し)といった、組合の本質的属性を備えている必要がある。
重要事実
漁業団体である「D網」の構成員(社内)らが、網元(上告人)に対し、漁具等の資産が社内全員の共有(合有)に属することの確認等を求めた事案。原審は、同地域の他の網の例(慣習)に基づき、(1)設立時の出資の有無を問わず施設資材は社内全員の平等な権利に属し、(2)加入に際して出資を要せず、(3)脱退時には当然に権利を喪失し持分の払戻しもなされないという実態を認定した上で、D網を「組合に類似するもの」と判断し、構成員の持分を認めた。
あてはめ
民法上の組合は「各当事者が出資」することを成立要件としている。しかるに、本件D網の実態とされる内容は、「設立時の出資の有無に関係なく権利が属する」「加入に際して財産出資を要しない」「脱退時に持分の払戻しを行わない」というものであり、これらは組合の本質的な性質に著しく反するものである。また、近隣の数例の組織実態を直ちに同地の「慣習」と断定して、組合類似の法理を適用することも認められない。
結論
本件組織を組合に類似するものと解し、構成員が当然に平等な持分を有するとした原判決は、組合の性質を誤解したものであり、失当である。
実務上の射程
団体の法的性質(組合、社団、あるいは単なる雇用・利用関係か)を判別する際の基準として、特に「出資」と「持分の精算」の有無を重視する。民法上の組合として構成する場合には、667条1項の「出資」要件の充足を慎重に検討すべきであることを示唆しており、慣習による修正を認めるに際しても厳格な立証を求める姿勢を示す。
事件番号: 昭和35(オ)1408 / 裁判年月日: 昭和37年6月8日 / 結論: 棄却
講の実態が営業的無尽であつて、相互銀行法第二条第一項第一号に違反するとしても、これをもつて直ちに講と加入者との間の講に関する契約が公序良俗に違反し無効となるものではない。
事件番号: 昭和30(オ)90 / 裁判年月日: 昭和32年3月8日 / 結論: 棄却
一村内の部落が、財産を有せず、且つ営造物を設けていないときは、民訴四五条の当事者能力を有しない。