家屋の賃貸人が、家屋の一部の転貸借につき近く予想される賃借人の家屋退去に至るまでの間を限つて承諾を与えたものであり、転借人もそのことを知つていたときは、右転借権は賃借人の家屋退去と同時に消滅するものと解すべきである。
賃貸借の合意解約により転借権が当然消滅すると解すべき場合
民法612条,民法第3編第2章第7節第3款(617条の前),借家法4条
判旨
賃貸人が転借を承諾するに際し、転貸借を原賃借人の退去までの期間限定とする合意があった場合、原賃貸借の終了に伴い転借権も消滅し、賃貸人による明渡請求は権利濫用にあたらない。
問題の所在(論点)
原賃貸借が終了した場合、賃貸人の承諾を得た転借権は消滅するか。また、期間限定の合意がある場合に賃貸人が明渡請求を行うことは権利の濫用にあたるか。
規範
転借権が原賃貸借の終了により消滅するか否かは、転借の承諾時に付された条件や合意の内容により判断される。また、明渡請求が権利の濫用(民法1条3項)にあたるか否かは、請求者の意図、必要性、及び転借人が置かれた事実関係を総合して判断すべきである。
重要事実
賃貸人(被上告人)は、原賃借人Dが近く退去することが予想される状況において、その退去までの間に限って、家屋の一部の転借を承諾した。転借人(上告人)側も当初からこの事実関係を了承していた。その後、Dの退去に伴い原賃貸借が終了したため、賃貸人は転借人に対し、家屋を他に処分して納税資金に充てる、あるいは自ら使用する目的で明渡しを求めた。
あてはめ
本件では、転借の承諾が「Dが退去するまでの間」という期間限定のものであり、転借人側もこれを了承していた。この事実関係の下では、原賃貸借の終了により転借権も消滅すると解するのが相当である。さらに、賃貸人には納税資金の確保や自己使用という正当な必要性があり、不当な意図も認められない。したがって、権利の濫用にはあたらない。
結論
原賃貸借の終了に伴い転借権は消滅し、賃貸人の明渡請求は認められる。
実務上の射程
転貸借の承諾がある場合、通常は合意解除による転借権消滅を対抗できないが、本判決は承諾時に「期間限定」の特約がある特殊な事案である。答案上では、承諾の性質を確定した上で、権利濫用の成否を検討する際の考慮要素(明渡しの必要性等)として活用できる。
事件番号: 昭和30(オ)494 / 裁判年月日: 昭和31年9月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】一時使用のための賃貸借に当たるか否かは、当事者の主観のみならず諸般の事情を総合して判断すべきであり、また、文書提出命令に違背した場合の効果は、当該文書の記載内容に関する主張を真実と認めるにとどまり、直ちに証せんとする事実まで真実と認められるものではない。 第1 事案の概要:被上告人とAとの間で昭和…