民訴第七三条は承継人が自ら進んで既存の訴訟に加入しうることを認めたものであり、また同法第七四条は従来の訴訟当事者が承継人を強制して訴訟に参加せしめうることを認めたものであつて、その承継人は訴訟の目的たる権利または債務のいずれの承継人であるとを問わない。
民訴法第七三条第七四条の法意
民訴法71条,民訴法73条,民訴法74条
判旨
訴訟の目的たる「債務」を承継した者が自ら進んで訴訟に参加する場合であっても、旧民訴法73条(現行法47条・51条)による訴訟参加が可能であり、必ずしも引受の規定による必要はない。訴訟承継の規定は、権利・債務の承継人に既存の訴訟状態を利用する機会を平等に与え、当事者間の公平を図る趣旨を含むからである。
問題の所在(論点)
訴訟の目的たる「債務」を承継した者が、自ら進んで訴訟に参加する場合に、民事訴訟法上の参加承継(現行47条・51条)の規定を利用することができるか。
規範
民事訴訟法上の承継人の参加および引受に関する各規定は、既存の訴訟状態を承継人や相手方が利用する機会を平等に与え、当事者間の公平を確保するために設けられたものである。したがって、参加の規定における「権利の譲受」や引受の規定における「債務の承継」という文言は通常の場面を例示したに過ぎない。債務を承継した者が自ら訴訟に参加する場合であっても、引受の規定(民訴法51条、旧74条)によらなければならないわけではなく、参加の規定(同47条、旧73条)を適用して訴訟に参加することが認められる。
重要事実
被上告人が被告Bに対し、建物収去土地明渡を請求する訴訟の控訴審において、上告人がBから当該建物の所有権を取得した。上告人は、建物の取得により「訴訟の目的たる債務を承継した」として、旧民訴法73条(現行47条・51条)に基づき自ら訴訟参加の申立てを行った。これに対し、原審は債務承継人の場合は引受(旧74条、現行51条)によるべきであり、参加の規定による申立ては不適法であるとして却下したため、上告人が上告した。
事件番号: 昭和39(オ)620 / 裁判年月日: 昭和41年3月22日 / 結論: 棄却
土地賃貸人が賃貸借契約の終了を理由に土地賃借人に対して建物収去土地明渡を求める訴訟の係属中に、土地賃借人から右建物を賃借し、これに基づき右建物およびその敷地の占有を承継した者は、民訴法第七四条第一項にいう「其ノ訴訟ノ目的タル債務ヲ承継シタ」第三者にあたる。
あてはめ
本件において、上告人は収去請求の対象である建物の所有権を取得しており、実質的に被告Bの負う収去義務(債務)を承継した者といえる。旧民訴法73条(現行47条)の趣旨は、承継人が自ら進んで既存の訴訟に加入することを認める点にある。権利と債務は表裏一体の関係にあり、債務を承継した者に対しても、既存の訴訟状態を利用して自己の権利を防御する機会を平等に与えることが公平の観念に合致する。したがって、上告人が債務承継人であることを理由になした参加申立ては、旧民訴法73条(現行47条)を適用できる適法なものであると解される。
結論
債務承継人による訴訟参加の申立ては適法である。原審がこれを不適法として却下した判断は違法であり、破棄を免れない。
実務上の射程
訴訟承継の論点において、承継人が自発的に参加する「参加承継」と、当事者が引き込む「引受承継」の区別を整理する際に用いる。現行法下でも、47条(権利承継)と51条(債務承継による参加承継)の関係において、本判例の趣旨は「債務承継人からの自発的な参加を広く認める」という文脈で答案に反映できる。
事件番号: 昭和28(オ)372 / 裁判年月日: 昭和30年11月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】賃借権が対抗力を有する場合、賃貸借の目的物たる土地の譲受人は、当然に賃貸人たる地位を承継し、賃借人に対する義務を負う。 第1 事案の概要:被上告人(賃借人)は、本件土地について旧罹災都市借地借家臨時処理法10条に基づき、第三者に対抗できる借地権を有していた。上告人(譲受人)は、本件土地を譲り受けた…
事件番号: 昭和49(オ)453 / 裁判年月日: 昭和49年9月20日 / 結論: 棄却
控訴審において債務承継人に対し訴訟の引受を命ずることは、憲法三二条に違反しない。
事件番号: 昭和30(オ)772 / 裁判年月日: 昭和31年1月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】債権者が民法423条(当時)に基づき債権者代位権を行使する場合、第三債務者に対して直接自己への給付を求めることができる。 第1 事案の概要:債権者(上告人)が、債務者の第三債務者に対する権利を代位行使し、第三債務者に対して直接自己への支払または給付を求めた事案である(具体的な基礎事実は判決文からは…
事件番号: 昭和34(オ)777 / 裁判年月日: 昭和36年6月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】独立当事者参加訴訟(民訴法47条)において、原告、被告、参加人の三当事者間で権利関係を合一に確定する必要がある場合、原告が参加人の請求を認諾したとしても、被告がこれを争っている限り、その認諾は効力を生じない。 第1 事案の概要:原告Bが被告に対して訴えを提起し、さらに参加人が民事訴訟法71条(現4…