戦時罹災土地物件令第四条第四項にいわゆる「二月」は、罹災当時の居住者の跡地使用権行使の除斥期間ではなく、土地所有者の権利行使を制限する期間と解すべきである。
戦時罹災土地物件令第四条四項の趣旨
戦時罹災土地物件令4条
判旨
戦時罹災土地物件令4条4項の「二月」という期間は、罹災当時の居住者の跡地使用権行使の除斥期間ではなく、土地所有者の権利行使を制限する期間である。
問題の所在(論点)
戦時罹災土地物件令4条4項に定める「二月」の期間が、罹災居住者の有する跡地使用権の存続を画する除斥期間(失権期間)か、あるいは土地所有者の権利行使を制限する期間か。
規範
戦時罹災土地物件令4条4項に規定される「二月」の期間は、立法の趣旨および規定の形式に照らし、罹災居住者による跡地使用権の行使を制限する除斥期間としてではなく、むしろ土地所有者の権利行使(返還請求等)を一定期間制限するものと解すべきである。
重要事実
建物が滅失した罹災土地について、被上告人が跡地使用権を有していたところ、建物滅失から2か月を経過した。土地所有者である上告人は、当該2か月の期間が跡地使用権行使の除斥期間であると主張し、期間経過によって被上告人の土地使用権は消滅したと訴えた。
あてはめ
同条の立法の趣旨は、戦災により建物を失った居住者の生活基盤を保護することにある。規定の形式を検討しても、居住者が2か月以内に権利を行使しなければ消滅するという失権を定めたものではない。したがって、被上告人が建物滅失から2か月以内に具体的な権利行使の態様を示さなかったとしても、それのみをもって土地使用権が消滅したと評価することはできない。
結論
被上告人は、建物滅失から2か月を経過したことによって本件土地使用権を喪失するものではない。上告人の請求は認められない。
実務上の射程
戦時罹災土地物件令という特別法に関する判断であるが、期間規定の性質を「権利者の失権期間」と見るか「義務者の制限期間」と見るかの解釈手法として、立法の趣旨と規定形式を重視する姿勢は他の時効・除斥期間の論点にも示唆を与える。
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