養子縁組届書に届出人の氏名が代書された場合にその事由の記載を欠いても、その届出が受理された以上縁組は有効に成立する。
養子縁組届出人の氏名の代書事由不記載と養子縁組の効力
民法802条2号,戸籍法29条,同法施行規則62条
判旨
戸籍法上の届出において、本人の委託があれば第三者による記名・調印は許容され、代書の事由の記載を欠く届出であっても受理された以上は有効に成立する。
問題の所在(論点)
戸籍法上の届出(養子縁組届)において、第三者による記名・調印が認められるか。また、代書の事由の記載を欠く届出が受理された場合、その効力はどうなるか。
規範
戸籍届書への署名・押印(記名・調印)は、本人の委託があれば第三者が代行(代書)することが許される。また、届書に代書の事由が記載されていない不備があっても、適法に受理された場合には、当該届出に基づく身分行為の効力は妨げられない。
重要事実
養子縁組の届出に際し、届出人の氏名が本人ではなく第三者によって代書され、かつ調印もなされた。その際、届書には代書に至った事由の記載が欠けていたが、戸籍吏員によって受理された。上告人は、第三者による記名・調印は許されず、代書の事由の記載がない届出は無効であると主張した。
あてはめ
戸籍法施行規則62条は代書を許容していると解されるため、本人の委託に基づく第三者の記名・調印は適法である。本件においても委託がある以上、第三者が行った記名・調印は有効な届出として評価できる。さらに、代書の事由の記載漏れという形式的不備があっても、受理された以上は届出の効力を否定すべきではない。
結論
本人の委託に基づく第三者の記名・調印による養子縁組届は有効であり、代書の事由の記載がなくても受理された以上、縁組は有効に成立する。
実務上の射程
身分上の届出における署名・押印の代理・代行の可否が問われる場面で活用できる。手続的瑕疵があっても受理されれば実体的な効力を認めるという、戸籍実務および身分法の安定性を重視する判断枠組みである。
事件番号: 昭和39(オ)189 / 裁判年月日: 昭和39年9月8日 / 結論: 棄却
養子縁組の追認には、民法第一一六条但書の規定は類推適用されないものと解するのが相当である。
事件番号: 昭和32(オ)1076 / 裁判年月日: 昭和33年4月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】養子縁組届が当事者の一方の不知の間にその意思に基づかずになされた場合、当該養子縁組をする意思がないものとして、その縁組は無効である。 第1 事案の概要:被上告人との間で養子縁組届(甲12号証)が提出されていたが、実際には被上告人には本件養子縁組をする意思が全くなかった。この養子縁組届は、被上告人が…
事件番号: 昭和45(オ)266 / 裁判年月日: 昭和45年11月24日 / 結論: 棄却
当事者間において養子縁組の合意が成立しており、かつ、その当事者から他人に対し右縁組の届出の委託がなされていたときは、届出が受理された当時当事者が意識を失つていたとしても、その受理の前に翻意したなど特段の事情のないかぎり、右届出の受理により養子縁組は有効に成立する。