一 民訴第一八七条第二項の手続を履践すべき場合、当事者の一方が口頭弁論期日に欠席したときは、裁判長は出頭した当事者に双方に係る従前の口頭弁論の結果を陳述させることができる。 二 裁判官の更迭があつた場合、口頭弁論調書に、当事者の一方だけが出頭し「前回までの口頭弁論調書にもとづいて従前の口頭弁論の結果を陳述」したとの記載があるときは、出頭当事者において双方に係る従前の口頭弁論の結果を陳述したものと解すべきである。
一 当事者の一方だけが出頭した場合における民訴第一八七条第二項の手続 二 当事者の一方だけが出頭した場合における民訴第一八七条第二項の手続と調書の記載
民訴法187条2項
判旨
裁判官の更迭があった場合において、当事者の一方が口頭弁論期日に欠席したときは、裁判長が出頭した当事者をして双方の従前の弁論結果を陳述させることで、弁論の更新手続を適法に履践することができる。
問題の所在(論点)
裁判官の更迭があった場合に、一方当事者が欠席した状態で出頭当事者のみが従前の弁論結果を陳述することは、民事訴訟法249条2項(旧187条2項)の更新手続として適法か。
規範
裁判官の更迭があった場合(民事訴訟法249条2項)、当事者は従前の口頭弁論の結果を陳述しなければならない(弁論の更新)。この際、一方当事者が欠席している場合であっても、裁判長が出頭した一方の当事者をして、当事者双方にかかる従前の口頭弁論の結果を陳述せしめることで、更新手続を適法に行うことができる。
重要事実
控訴審において裁判官の更迭があった後の口頭弁論期日において、控訴人およびその訴訟代理人は出頭せず、被控訴代理人のみが出頭した。当該期日の弁論調書には、被控訴代理人が「前回までの口頭弁論調書に基づき従前の口頭弁論の結果を陳述した」旨の記載がなされていた。
事件番号: 昭和39(オ)690 / 裁判年月日: 昭和41年2月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判官の更迭後に弁論の更新がなされないまま訴訟手続が進められたとしても、その後の最終口頭弁論期日において更迭後の裁判官構成のもとで従前の口頭弁論の結果が陳述された場合には、手続上の瑕疵は治癒される。 第1 事案の概要:本件訴訟の控訴審において、第9回口頭弁論期日後に裁判官の一部が更迭されたが、続く…
あてはめ
本件では、被控訴代理人が前回までの口頭弁論調書に基づいて従前の口頭弁論の結果を陳述している。この記載は、裁判長の訴訟指揮に基づき、欠席した控訴人の分も含めた「当事者双方にかかる従前の口頭弁論の結果」を陳述したものと解される。したがって、一方の当事者が欠席していても、出頭した当事者によって双方の主張内容が顕出された以上、新裁判官に弁論の内容を提示するという更新手続の目的は果たされているといえる。
結論
一方当事者の欠席下で行われた本件の更新手続は適法であり、民事訴訟法249条2項に規定する手続は適法に履践されたものと解される。
実務上の射程
裁判官の更迭後の更新手続における「陳述」の態様を柔軟に認めたものである。実務上、一方当事者の欠席(または擬制陳述等)が重なる場面においても、調書に基づき出頭当事者が双方の主張を要約・陳述する形式をとれば、直接主義の要請を充たし得ると判断する際の根拠となる。
事件番号: 昭和39(オ)1159 / 裁判年月日: 昭和40年12月23日 / 結論: 棄却
民訴法第一八七条第二項の手続を履践すべき場合、当事者の一方が口頭弁論期日に欠席したときは、裁判長は出頭した一方の当事者をして、当事者双方にかかる従前の口頭弁論の結果を陳述させることができる。
事件番号: 昭和32(オ)415 / 裁判年月日: 昭和34年6月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判官の更迭に伴い弁論の更新がなされた場合において、当事者が従前の証人につき再尋問の申出をしない限り、更新前の証拠調べの結果を判決の基礎とすることは適法である。 第1 事案の概要:上告人は、建物の譲渡を受けたとして所有権を主張したが、原審(控訴審)はこれを認めず請求を棄却した。原審の審理過程におい…
事件番号: 昭和45(オ)514 / 裁判年月日: 昭和47年5月4日 / 結論: 棄却
民訴法一八七条三項は、本人尋問には準用されない。