地方公共団体の議会の解散請求署名簿の署名の効力に関する訴訟において、議会は当事者能力を有しない。
地方公共団体の議会の解散請求署名簿の署名の効力に関する訴における議会の当事者能力
地方自治法76条4項,地方自治法74条の2第8項
判旨
普通地方公共団体の議会は法律関係の主体ではなく、法律に特別の規定がない限り、裁判上自己の名において訴え又は訴えられる権利能力を有しない。
問題の所在(論点)
普通地方公共団体の議会に、地方自治法(当時の74条の2第8項)の定める「不服がある者」として、自己の名において訴訟を提起し、または訴訟に参加する当事者能力が認められるか。
規範
1. 議会は普通地方公共団体の機関にすぎず、法律関係の主体ではないため、特段の規定がない限り、訴訟当事者となる能力(当事者能力)を有しない。2. したがって、地方自治法上の「不服がある者」には、法律に別段の定めがない限り、議会は含まれないと解すべきである。
重要事実
普通地方公共団体の議会(上告人)が、議会の解散に関する賛否投票の効力等を争う訴訟において、地方自治法74条の2第8項(当時の条文)に基づき当事者参加を申し立てた。しかし、原審(高等裁判所)は議会には当事者能力がないとして申出を却下したため、上告人がこれを違法として上告した事案である。
事件番号: 昭和28(オ)855 / 裁判年月日: 昭和29年2月26日 / 結論: 棄却
一 選挙人名簿に記載されている者は、その後選挙権を失つても直接請求の署名簿に署名することができる。 二 署名の意味が不明のままで直接請求の署名簿にした署名であつても、地方自治法施行令第九五条で規定する時期までに、同条に規定する方法によつて取り消されないかぎり有効である。
あてはめ
1. 議会は地方公共団体の一機関であって、権利義務の帰属主体である法人(法律関係の主体)ではない。2. かつては施行令の規定により、議会が選挙や解散投票の効力を争うことが明文で認められていた時期もあったが、現行法令(本判決当時)には議会の当事者能力を認める特別な規定は存在しない。3. したがって、議会は法が想定する「不服がある者」には該当せず、訴訟上の当事者となることはできない。
結論
普通地方公共団体の議会には当事者能力が認められないため、議会による当事者参加の申出を却下した原決定は正当である。
実務上の射程
行政主体と行政機関の区別を明確にした判例であり、地方自治体そのもの(法人)と、その内部機関にすぎない議会や首長等を峻別する。機関訴訟として法律に特別の規定がある場合(地方自治法176条等)を除き、内部機関が当事者として訴訟を追行することはできないという原則を示すものとして答案で活用できる。
事件番号: 昭和26(オ)91 / 裁判年月日: 昭和26年12月28日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】議会解散投票の効力を争う訴訟において、議員の任期が満了した場合には、当該投票の無効を求める訴えの利益(判決を求める実益)は失われる。ただし、解散請求手続に看過し得ない重大な瑕疵がある場合、その後の投票も無効となる。 第1 事案の概要:被上告人である地方自治体の議会解散に関する賛否投票の効力をめぐり…
事件番号: 昭和26(オ)346 / 裁判年月日: 昭和26年12月28日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】村議会の解散賛否投票の効力を争う訴えにおいて、当該議会議員の任期が満了した場合には、もはや判決を求める訴えの利益(実益)は失われる。 第1 事案の概要:徳島県美馬郡a村において、昭和25年9月7日に村議会解散の賛否を問う投票が行われた。被上告人は、この投票の効力に関する選挙管理委員会の異議決定およ…