控訴審における請求の拡張は、たとえ請求の基礎に変更があつても、相手方が異議なく応訴した場合は、これを許すべきである。
控訴審における請求の基礎の変更と相手方が異議を述べなかつた場合の効果
民訴法232条
判旨
賃借人が賃貸人の承諾を得ずに第三者に賃借物を転貸した場合において、当該転貸が契約解除の原因となると認められるときは、賃貸人は民法612条2項に基づき賃貸借契約を解除することができる。
問題の所在(論点)
民法612条2項に基づく無断転貸を理由とする賃貸借契約の解除の可否、および解除に伴う正当事由の要否が問題となる。
規範
賃借人が賃貸人の承諾なく賃借物を第三者に転貸し、当該第三者にこれを使用させた場合、賃貸人は賃貸借契約の解除権を取得する(民法612条2項)。
重要事実
賃借人(上告人)が、賃貸人(被上告人)の承諾を得ることなく、賃借物について第三者への無断転貸を行った。これに対し、賃貸人は無断転貸を理由として賃貸借契約の解除を主張した。第一審および控訴審は、無断転貸の事実を認定し、解除の原因があるとして賃貸人の請求を認容した。
あてはめ
原審が認定した事実によれば、賃借人が賃貸人の承諾なく第三者に賃借物を転貸した事実は無断転貸に該当する。このような行為は賃貸借契約における信頼関係を破壊する解除原因となり得るものであり、原審が本件解除を有効と認めた判断は正当である。なお、無断転貸による解除が成立する以上、借地借家法(当時または旧法下の議論)等における正当事由に関する判断は、解除の効力を維持する上で必須の要件ではない。
結論
無断転貸の事実が認められ、解除原因があるとする原審の判断は正当であり、賃貸人は契約を解除できる。上告を棄却する。
実務上の射程
民法612条の無断転貸解除の事案において、信頼関係を破壊しない特段の事情がない限り、解除権が発生することを確認する基本的事例。答案上は、転貸の事実を指摘した上で、同条2項により直ちに解除権が発生するとの構成を支える判例として機能する。
事件番号: 昭和38(オ)1033 / 裁判年月日: 昭和39年5月1日 / 結論: 棄却
たとえ甲会社と乙会社の代表取締役が同一人であつても、賃借人たる甲会社の業績不振のため、乙会社の管理のもとにこれを整理すべく、賃貸人に無断で賃借家屋を両者で共同占有しているときには、民法第六一二条の無断転貸に当ると認められる。