議会の運営と全く関係のない議員の議場外における個人的行為は、懲罰事由とすることができない。
議会の運営と全く関係のない議員の議場外における個人的行為は懲罰事由となるか
地方自治法134条
判旨
地方自治法134条1項の懲罰事由は、議会の秩序維持と円滑な運営を目的とするものであり、議会と無関係な議員個人の議場外の行為は、憲法15条2項の趣旨に反するとしても懲罰の対象とならない。
問題の所在(論点)
議員が議場外で行った、議会の運営と直接関係のない個人的な犯罪行為(横領)が、地方自治法134条1項にいう懲罰事由に該当するか。
規範
地方自治法134条1項が議員の懲罰を規定しているのは、議会の秩序を維持し、その運営を円滑ならしめるためであって、議員の個人的行為を規律するためではない。したがって、議員の議場外の行為であって、かつ議会の運営と全く関係のない個人的行為は、同条による懲罰の事由にはならないと解すべきである。
重要事実
村議会議員である被上告人が、大字会計員として在職中に職務上保管していた環境改善費を横領したとして、村議会が地方自治法134条1項に基づき被上告人を除名処分とした。被上告人はこの処分の取消しを求めて提訴した。
事件番号: 昭和28(オ)82 / 裁判年月日: 昭和28年10月1日 / 結論: 棄却
議員の会期外の行為でも、議会の開会を阻止し流会に至らしめるような議会運営に関する行為は、懲罰事由となる。
あてはめ
被上告人の除名理由は、大字会計員としての業務上の横領であり、これは議場外の行為である。また、当該行為は議会の運営や秩序維持とは全く関係のない個人的行為に留まる。議員が全体の奉仕者として職務を尽くすべき義務(憲法15条2項)は議員の地位に伴うものであるが、議員の地位を離れた私的な行為に対してまで、同義務違反を理由に同法134条1項の懲罰を科すことはできない。また、不適格な議員を排斥するという目的があるとしても、それは他の適当な方法によるべきである。
結論
被上告人の行為は懲罰事由に該当せず、本件除名処分は違法である。
実務上の射程
地方議会議員の懲罰権の限界を画した重要判例である。議場外の行為が懲罰対象となるかは「議会の運営・秩序維持との関連性」で決まるため、答案上は当該事実が議会の品位を著しく汚し運営に支障をきたすものか否かの検討に際して本規範を用いる。
事件番号: 昭和25(オ)314 / 裁判年月日: 昭和26年2月20日 / 結論: 棄却
地方裁判所が高等裁判所の管轄に属する訴を異議、訴願を経ないとの理由で不適法として却下し、その判決に対して高等裁判所に控訴が提起された場合において、同裁判所は右判決を取り消し地方裁判所に差し戻さず直ちに同一の理由で訴を却下して差支えない。
事件番号: 昭和33(オ)878 / 裁判年月日: 昭和34年2月13日 / 結論: 棄却
地方自治法第七四条の二第八項の訴訟には行政事件訴訟特例法第二条の適用はない。