裁判長たる裁判官が、当事者の一方の訴訟代理人の女婿であるからといつて、民訴第三七条第一項にいわゆる裁判の公正を妨ぐべき事情があるものとはいえない。
民訴第三七条第一項の裁判の公正を妨ぐべき事情にあたらない事例
民訴法37条1項
判旨
売買契約における「売却方の申込み」という表現がなされた場合であっても、それが売買の準備的交渉の範囲にとどまるものであれば、法的な契約の申込みとは認められず、売買契約や予約の成立を導くものではない。
問題の所在(論点)
当事者が行った「売却方の申込み」との行為が、直ちに売買契約を成立させ得る「契約の申込み」にあたるか。または売買の一方の予約を成立させるものといえるか。
規範
契約が成立するためには、当事者の一方による確定的な「申込み」と、それに対する「承諾」の合致が必要である。文言上「申込み」と称される行為であっても、その実態が準備的交渉の段階にすぎない場合には、民法上の申込みとは評価できず、それに対する意思表示によって直ちに契約や売買の一方の予約が成立することはない。
重要事実
被上告組合は総会において所有山林の立木売却を決定し、監事Eらを売却交渉委員に選任した。Eは、上告人に対して三筆の山林に生立する赤松三万石の「売却方を申込み」た。上告人は、この行為を契約の申込みまたは売買の一方の予約であると主張し、自身の買受けの意思表示によって売買契約が成立したと争った。
事件番号: 昭和34(オ)566 / 裁判年月日: 昭和37年12月25日 / 結論: 破棄差戻
一方において売買予約の成立を推定するに足る間接事実を認定しておきながら、他方首肯するに足る理由を示すことなく売買予約の成立を否定した原判決には、審理不尽理由不備則の違法がある。
あてはめ
事実関係を検討すると、被上告組合側の行為は、売却交渉委員を選任して立木売込みについての交渉を依頼した段階で行われたものである。原判決が「売却方を申込み」と判示した趣旨は、いわゆる法的な「契約の申込み」を指すものではなく、あくまで売買の準備的交渉の範囲を出ないものであると解される。したがって、契約成立の前提となる確定的な意思表示があったとはいえず、上告人が買受けの意思表示をしたとしても契約の成立は認められない。
結論
本件における行為は準備的交渉にすぎず、売買契約および売買の一方の予約の成立はいずれも認められない。
実務上の射程
契約締結上の過失や予約完結権の成否が争われる場面において、準備的交渉と確定的な申込みを区別する際の考慮要素として活用できる。特に組織的な決定(総会決議等)を経た後の交渉段階における意思表示の法的性質を判断する際の指標となる。
事件番号: 昭和31(オ)791 / 裁判年月日: 昭和33年1月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】複数の当事者間で共有の約定がなされたと主張される場合であっても、一方の代理人との間で意思表示の合致が認められないときは、共有の合意は成立しない。また、裁判所がある事実の認定に際し、同一証人の証言の一部を採用し、他の一部を排斥することは適法である。 第1 事案の概要:上告人と被上告人の代理人D、およ…
事件番号: 昭和40(オ)1060 / 裁判年月日: 昭和42年6月22日 / 結論: 棄却
山林の売買予約の成立を否定した二審の判断について審理不尽、理由不備を理由として差した場合において、差戻後の二審判決が、たまたま差戻前の判決の結論と一致していたとしても、その前提となる間接事実が異なる以上、民訴法第四〇七条第二項に違反しないというべきである。
事件番号: 昭和24(オ)305 / 裁判年月日: 昭和28年2月17日 / 結論: 棄却
本件の様に、上告人の代金額を定めない申入れに対し被上告人から代金額を定めた返答があり、これに対して上告人が代金額を争い、両三回に亘り被上告人から被上告人の定めた代金額を受諾すべき旨の申入があつたに拘わらず、上告人がこれに応じなかつた如き場合においては代金額の不一致により契約が成立しなかつたものと見るのが通常である。
事件番号: 昭和31(オ)926 / 裁判年月日: 昭和32年11月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】売買において代金額を算定する基礎として、目的物の一定の数量を指示してなされた契約は、民法565条(数量指示売買)に該当する。 第1 事案の概要:上告人と相手方との間で本件立木の売買契約が締結された。その際、立木の数量を3万石と明示(指示)し、単価を1石当たり50円と定めて代金額を決定した。後に実際…