貸店使用の事実関係(判決理由参照)からみて、借店人が貸店舗内の特定の場所の使用収益をなさしめることを請求できる独立の権利を有するものと認められないときは、その貸店契約については、賃貸借の規定の適用はないと解するのが相当である。
賃貸借の規定が適用されない貸店契約の一事例
民法601條
判旨
デパートの売場使用契約において、管理者の広範な指示・監督権が認められ、使用者が特定の場所を排他的・支配的に占有する権利を有しない場合は、民法上の賃貸借契約及び借家法の適用は否定される。
問題の所在(論点)
デパートの売場の一部を使用する契約が、民法上の賃貸借契約または借家法の適用を受ける賃貸借に該当し、使用者が独立した占有権を主張できるか。
規範
賃貸借契約(民法601条)及び借家法の適用があるか否かは、使用者が対象となる特定の場所について、管理者から独立して支配的に使用収益できる権利を有しているか否かによって判断する。具体的には、場所の特定性、管理者の指示・干渉の程度、設備の設置権限、営業上の独立性、対価の性質等を総合考慮する。
重要事実
上告人らはデパート(Dデパート)の1階一部を営業場所として使用していた。契約上、(1)場所は指定された区画に過ぎず居住不可、(2)被上告人は商品の品質・価格や売場の位置変更を指示でき、防火等の必要があれば変更可能、(3)設備は移動可能なものに限られ被上告人の許可を要する、(4)営業は自己の名義・資本で行うが営業権の譲渡は禁止され、包装紙も指定される、(5)対価は売上歩合や維持費名義で支払われていた。
あてはめ
本件では、使用場所は売場としての区画に過ぎず、被上告人がデパートの統一性や安全維持のために位置変更や営業方針への指示・干渉を行う広範な権限を有している。また、造作の設置には許可が必要であり、営業権の譲渡も禁止されるなど、上告人らの使用は被上告人の強い管理下に置かれている。このような事実関係の下では、上告人らが店舗の一部を「独立して支配的に使用」しているとは評価できず、契約上の排他的な占有権は認められない。
結論
本件売場使用契約には、民法の賃貸借に関する規定及び借家法の適用はなく、上告人らは賃借権に基づく占有権を有しない。
実務上の射程
デパート内の売場や駅構内の店舗など、施設全体の統一的運営や保安の必要性が高い場所での利用契約を検討する際に重要となる。独立した排他的占有が認められない「施設利用契約」と「賃貸借」を区別する際の考慮要素を提示している。
事件番号: 昭和28(オ)1368 / 裁判年月日: 昭和30年11月22日 / 結論: 棄却
一 土地およびその上に生立する立木をともに買い受けた者が、土地につき所有権取得登記をしたときは、たとえその後立木につき前所有者のため、保存登記がなされても、この登記は無効である。 二 解除権を有する者が久しきに亘りこれを行使せず、相手方においてその権利はもはや行使されないものと信頼すべき正当の事由を有するに至つたため、…