農地売渡処分の取消処分に対する出訴期間については、自作農創設特別措置法第四七条の二の規定によるべきではなく、行政事件訴訟特例法第五条の規定によるべきである。
農地売渡処分の取消処分に対する出訴期間
自作農創設特別措置法47条の2,行政事件訴訟特例法5条
判旨
農地売渡処分の取消処分は、行政行為の一般的法理に基づき行われるものであり、その出訴期間は特別法である自作農創設特別措置法ではなく、行政事件訴訟特例法(当時)の規定が適用される。
問題の所在(論点)
農地売渡処分の「取消処分」に対する出訴期間について、自作農創設特別措置法の規定が適用されるのか、それとも行政事件訴訟の一般法理(行政事件訴訟特例法)が適用されるのかが問題となった。
規範
特定の行政処分を対象とする特別法に取消処分の規定がない場合、当該処分の取消しは行政行為の一般的法理に従って行われる。したがって、その取消処分に対する出訴期間等の訴訟要件は、特別法の規定によらず、一般法である行政事件訴訟の規定が適用される。
重要事実
上告人は自作農創設特別措置法に基づき農地売渡処分を受けたが、後に当該処分を取消す行政処分がなされた。上告人はこの取消処分の無効または取消しを求めて出訴した。争点となったのは、当該取消処分に対する出訴期間が、自創法に定められた期間か、あるいは当時の行政事件訴訟特例法5条に定められた「処分のあったことを知った日から6ヶ月」という一般規定かであった。
事件番号: 昭和25(オ)287 / 裁判年月日: 昭和26年10月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分に対する取消訴訟において、出訴期間の規定は公法上の法律関係を早期に確定させるための強行規定であり、処分の実体的な違法性の有無や行政庁による訴訟提起の要請にかかわらず適用される。 第1 事案の概要:上告人は、自作農創設特別措置法に基づく農地買収処分について、病者が不在地主にならない保障に反す…
あてはめ
農地売渡処分自体は自創法の規定に基づくものであるが、一度なされた売渡処分をさらに取り消す処分については、同法に直接の規定が存在しない。このような取消処分は行政権の行使に伴う一般的法理に基づいて行われる性質のものである。したがって、その不服申立ての期間制限についても、自創法の特殊な期間制限(短期期間等)を類推適用すべきではなく、一般法である行政特例法5条を適用して算定すべきである。本件では原審が自創法を基準としたのは誤りである。
結論
取消処分に対する出訴期間は行政事件訴訟特例法5条(当時)の規定により、処分を知った日から6ヶ月以内と解すべきである。原判決中、自創法を適用した部分は破棄を免れない。
実務上の射程
特別法に基づく処分の「取消処分」については、特別法に特段の定めがない限り、行政法規の一般原則や一般法が適用されるという法理を示している。行政事件訴訟法が現行法に移行した現在においても、特別法上の不服申立期間と一般法の関係を整理する際の基本的な考え方として参考になる。
事件番号: 昭和28(オ)1385 / 裁判年月日: 昭和30年12月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分が判決によって取り消された場合、当該処分は遡及的に効力を失い、その処分が存在しない状態が前提となる。そのため、先行処分の効力回復を無視してなされた後発の売渡処分等は、目的物の権利帰属関係に矛盾を生じさせるため無効である。 第1 事案の概要:知事Aは被上告人Bに対し、昭和23年2月2日を売渡…
事件番号: 昭和31(オ)19 / 裁判年月日: 昭和32年4月25日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】行政庁の処分の取消処分が、根拠法の規定に基づかず行政行為取消の一般法理に基づいてなされた場合、その取消訴訟の出訴期間には根拠法の特別規定ではなく一般法の期間が適用される。 第1 事案の概要:上告人は、自作農創設特別措置法(自創法)に基づく農地売渡計画の取消処分を受けた。上告人は、昭和24年5月31…
事件番号: 昭和37(オ)1349 / 裁判年月日: 昭和38年7月19日 / 結論: 棄却
自作農創設特別措置法第四七条の二が憲法第三二条に違反しないとする昭和二四年五月一八日大法廷判決(昭和二三年(オ)第一三七号、民集三巻六号一九九頁)の趣旨に徴し、右法規と同趣旨の行政事件訴訟特例法第五条は、憲法の同条規に違反しないものといわねばならない。