一 自作農創設特別措置法施行規則第一条の二による農林大臣の承認は行政処分ではない。 二 自作農創設特別措置法施行規則第一条の二が自作農創設特別措置法第五条第四号の知事の承認につき農林大臣の承認を要するものと規定しても省令をもつて法律を変更するものではない。
一 自作農創設特別措置法施行規則第一条の二による農林大臣の承認は行政処分か 二 自作農創設特別措置法施行規則第一条の二の性質
自作農創設特別措置法施行規則1条の2,行政事件訴訟特例法1条,自作農創設特別措置法5条4号,国家行政組織法15条,地方自治法150条
判旨
農林大臣による都道府県知事への「承認」行為は、行政機関相互間の指揮権に基づく行為にすぎず、国民の権利義務に直接関係しないため、行政訴訟の対象となる処分性を有しない。
問題の所在(論点)
農林大臣が都道府県知事に対して行う「承認」または「不承認」の行為は、国民に対する行政処分(処分性)に該当し、取消訴訟等の対象となるか。
規範
行政訴訟の対象となる「処分」とは、行政庁の行為のうち、直接国民の権利義務を形成し、またはその範囲を確定することが法律上認められているものを指す。行政機関内部の指揮監督権に基づく行為や、機関相互間の意思決定プロセスにおける合意形成にすぎないものは、特段の事情がない限り、国民の権利義務に直接影響を及ぼすものではないため、処分性を欠く。
重要事実
自作農創設特別措置法施行規則に基づき、都道府県知事が買収除外区域の指定を行うに際し、農林大臣の承認が必要とされていた。上告人らは、農林大臣がこの承認を行わない(不承認)とした行為の取消しや、承認すべきことの義務付け等を求めて提訴した。上告人側は、当該承認行為が実質的に個人の権利を左右する行政処分であると主張した。
あてはめ
農林大臣による承認は、都道府県知事が国の機関委任事務として行う事務に対し、上級官庁として有する指揮監督権に基づく行為である。この承認はあくまで行政機関相互間の行為にすぎず、外部の国民である上告人らに対して直接行われるものではない。したがって、この行為自体によって上告人らの権利義務が直接的に創設されたり制限されたりする関係にはないため、行政処分としての性質を具備しない。
結論
農林大臣の承認・不承認行為は、行政訴訟の対象となる行政処分には当たらない。したがって、本件訴えは不適法として棄却・却下されるべきである。
実務上の射程
行政庁間の同意や承認が、外部的な処分(本件では知事による指定等)の前提要件となっている場合、後続の外部的処分を争うべきであり、中間的な内部行為である「承認」自体の処分性は否定される傾向にある。機関委任事務廃止後の現代においても、内部的な事前協議や承認の処分性を論じる際の重要な指標となる。
事件番号: 昭和28(オ)698 / 裁判年月日: 昭和30年12月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自作農創設特別措置法5条5号にいう「近く土地使用の目的を変更することを相当とする農地」への該当性は農地委員会の自由裁量に属さず、これに該当する農地を買収除外地として指定せずになされた買収処分は違法である。 第1 事案の概要:上告人が所有する本件土地につき、農地委員会が自作農創設特別措置法に基づく買…
事件番号: 昭和25(オ)160 / 裁判年月日: 昭和27年3月6日 / 結論: 棄却
市町村農地委員会の定めた農地の買収計画、売渡計画に対する都道府県農地委員会の承認は、民訴応急措置法第八条、自作農創設特別措置法第四七条の二、同法附則第七条、行政事件訴訟特例法等にいう行政庁の処分ということはできない。
事件番号: 昭和30(オ)138 / 裁判年月日: 昭和31年5月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分が法律上の手続規定に違反してなされた場合であっても、その瑕疵が当然に処分を無効とするものではなく、出訴期間内に取り消されない限り、公定力により有効なものとして取り扱われる。 第1 事案の概要:自作農創設特別措置法に基づき農地の買収処分が行われた際、買収令書が真の所有者である上告人ではなく、…