市町村農地委員会の定めた農地の買収計画、売渡計画に対する都道府県農地委員会の承認は、民訴応急措置法第八条、自作農創設特別措置法第四七条の二、同法附則第七条、行政事件訴訟特例法等にいう行政庁の処分ということはできない。
市町村農地委員会の定めた農地の買収計画売渡計画に対する都道府県農地委員会の承認は行政庁の処分か
自作農創設特別措置法8条,自作農創設特別措置法18条5項,自作農創設特別措置法47条の2,自作農創設特別措置法附則7条,民訴法応急措置法8条,行政事件訴訟特例法1条
判旨
上級行政庁が下級行政庁の計画等に対して行う承認は、行政庁相互間の内部的行為にすぎず、国民の権利義務に直接影響を及ぼすものではないため、抗告訴訟の対象となる「処分」には当たらない。
問題の所在(論点)
上級行政庁(県農地委員会)が下級行政庁(市町村農地委員会)の作成した計画に対して与える「承認」は、行政事件訴訟(旧法下の訴訟)における取消訴訟の対象となる「処分」に該当するか。
規範
行政庁の行為が抗告訴訟の対象となる「行政庁の処分」に該当するためには、それが国民に対する対外的な行為であり、かつ国民の権利義務に直接の関係がある行為(法的効果を直接及ぼす行為)であることを要する。上級行政庁が下級行政庁に対して行う承認等の対内的行為は、特段の規定がない限りこれに含まれない。
重要事実
市町村農地委員会が、上告人所有の土地について買収・売渡計画を定め、自作農創設特別措置法に基づき石川県農地委員会(被上告人)から承認を受けた。上告人は、この県農地委員会による「承認」の取消しを求めて提訴した。原審は出訴期間の経過を理由に訴えを不適法としたが、上告人がこれを不服として上告した。
事件番号: 昭和35(オ)1198 / 裁判年月日: 昭和37年7月20日 / 結論: 棄却
農業委員会が国の所有農地についてした売渡決議及び関係書類の知事への進達は、行政事件訴訟特例法にいう行政庁の処分ではない。
あてはめ
本件における県農地委員会の承認行為は、上級行政庁の下級行政庁に対する行為であり、行政庁相互間の対内的行為にとどまる。これは行政庁の国民に対する対外的行為ではなく、土地所有者たる上告人の権利義務に直接の関係がある行為とはいえない。土地所有者に対する具体的な権利制限は、その後の買収処分(同法9条)によって初めて生じるものであり、承認自体によって生じるものではない。
結論
本件承認行為は「行政庁の処分」に当たらず、これに対する取消訴訟は認められない。したがって、本件の訴えは不適法として却下されるべきである。
実務上の射程
「行政庁の処分」(行政事件訴訟法3条2項)の概念における「公権力性」および「直接的法的効果」のうち、特に後者の「対外的効果の欠如」を理由に処分性を否定する文脈で活用できる。二段階のプロセスを踏む行政手続において、中間段階の内部行為(承認・同意等)を争うのではなく、最終的な外部的処分(本件では買収処分)を争うべきとする基本的な判断枠組みを示すものである。
事件番号: 昭和25(オ)220 / 裁判年月日: 昭和27年1月25日 / 結論: 棄却
自作農創設特別措置法附則第二項によつて買収計画が定められ、その後右附則第二項が削除され、同法第六条の二ないし五が加えられた場合において、裁判所が買収計画の当否を判断するについては、附則第二項によらなければならない。
事件番号: 昭和25(オ)381 / 裁判年月日: 昭和26年9月11日 / 結論: 棄却
時価を参酌しないで宅地の買収対価を定めた違法があつても、その違法は、自作農創設特別措置法第一四条の訴により主張すべきであつて買収処分取消の理由とはならない。
事件番号: 昭和26(オ)7 / 裁判年月日: 昭和27年4月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】未墾地買収において、複数の開拓適地が存在する場合の選択は農地委員会の裁量に属し、裁判所の審査は買収対象が法定要件を充足しているか否か、及び手続の適法性に限られる。 第1 事案の概要:自作農創設特別措置法に基づき、農地委員会が上告人所有の山林を未墾地として買収する処分を行った。これに対し上告人が、①…