法定の推定家督相続人がその相続権を失つた後に懐胎出生した直系卑属は代襲相続をする権利を有しない。
法定の推定家督相続人が相続権を失つた後に懐胎出生した直系卑属の代襲相続権の有無
旧民法974条
判旨
旧民法下の承祖相続において、法定の推定家督相続人が相続権を喪失した当時に出生していなかったその直系卑属は、その後の入籍の有無を問わず、承祖相続人となることはできない。
問題の所在(論点)
旧民法における承祖相続(家督相続人が欠格や廃除等で権利を失った場合にその直系卑属が相続すること)において、相続権喪失後に出生した卑属に相続権が認められるか、その発生要件が問題となった。
規範
旧民法の家督相続制度において、法定の推定家督相続人がその相続権を失った際、その時点で出生していなかった直系卑属は、戸主の死亡に至るまで戸籍に入籍していたか否かにかかわらず、承祖相続をする権利を有しない。
重要事実
戸主Eの法定の推定家督相続人であったDが、その相続権を喪失した。上告人(Dの直系卑属)は、Dが相続権を喪失した後に出生した者であった。上告人は、戸主Eの死亡に伴い、自らが承祖相続人として家督を相続する権利がある旨を主張した。
事件番号: 昭和27(オ)1258 / 裁判年月日: 昭和29年2月26日 / 結論: 棄却
親族会の招集期日の変更決定が、三名の会員中一名だけに送達されたため、右期日に他の二名が出席してなした決議も当然無効ではなく、訴により取消を求め得るにすぎない。
あてはめ
本件において、上告人の父であるDは戸主Eの法定の推定家督相続人であったが、その地位を既に失っている。上告人が出生したのはDがその地位を失った後である。承祖相続の権利は、相続権喪失の時点で既に存在(出生)している卑属に認められるべきものであり、後から出生した上告人は、たとえ戸主に死亡まで入籍していたとしても、代襲的な相続権を承継する基礎を欠いているといえる。
結論
上告人は父Dの承祖相続人たる地位を有しないため、上告人の請求は認められない。
実務上の射程
旧民法下の家督相続に関する判断であり、現代の民法における代襲相続(887条2項)の解釈とは前提を異にするが、相続権の発生時期と相続資格者の範囲を画定する際の歴史的解釈として参照される。現在の実務においては、旧法下で発生した相続の有効性を争う場面に限定される。
事件番号: 昭和28(オ)805 / 裁判年月日: 昭和30年11月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】戸主による家督相続人の指定は、指定権者にその決意があると認められ、かつ、その旨の届出が市町村長に受理された場合には、その効力を有する。 第1 事案の概要:戸主Dは、死亡前の十数年間にわたりEと事実上の夫婦関係にあった。Dは、Eの実弟である被上告人を自らの家督相続人に指定する決意を有していた。昭和1…
事件番号: 昭和40(オ)467 / 裁判年月日: 昭和42年4月28日 / 結論: 棄却
新民法施行後は、旧民法によつてされた家督相続人選定親族会決議の無効確認を求める訴の利益はない。
事件番号: 昭和24(オ)302 / 裁判年月日: 昭和26年9月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧慣等に基づく家督相続人の指定において、当該指定がなされた事実に加え、指定者にその意思を欠く事情が認められない場合には、適法な指定があったものと解される。 第1 事案の概要:上告人において、本件家督相続人の指定が自らの意思に基づかないものであると主張し、原判決の事実認定に経験則違背があるとして争っ…
事件番号: 昭和44(オ)1138 / 裁判年月日: 昭和45年3月3日 / 結論: 棄却
自己が家督相続人として選定されたことを理由として、戸籍簿上の家督相続人を排除し自己の家督相続人たる地位を回復することを目的とする請求は、戸籍簿上の家督相続人を相手方とする家督相続回復の訴によるべきであり、選定者を相手方として家督相続人たる地位の確認を求める訴は確認の利益を有しない。