親族会の招集期日の変更決定が、三名の会員中一名だけに送達されたため、右期日に他の二名が出席してなした決議も当然無効ではなく、訴により取消を求め得るにすぎない。
親族会招集期日の変更決定の送達を受けなかつた一部会員が右期日になした決議の効力
旧民法951条
判旨
親族会の招集期日変更決定が一部の会員にのみ送達され、他の会員には未送達のまま旧期日に開催された決議は、招集手続に違法があるものの当然無効ではなく、取消訴訟等によるべきものと解される。
問題の所在(論点)
招集期日の変更通知が一部の親族会員に送達されず、変更前の旧期日に一部の会員のみでなされた親族会の決議は、当然に無効となるか、あるいは取消事由にとどまるか。
規範
親族会等の合議体において、招集期日の変更が一部の構成員に適切に告知されず、その結果として一部の会員が欠席した状態でなされた決議は、手続上の違法を構成する。しかし、その瑕疵は決議を当然に無効とするほど重大なものとはいえず、不服の訴え等によってその効力が争われるべき相対的な無効(取消事由)にとどまる。
重要事実
戸主Dの死亡に伴う家督相続人選定のため、裁判所はG、E、上告人の3名を親族会員に選定し、昭和21年2月18日を招集期日と決定した。その後、裁判所は期日を3月20日に変更する決定をしたが、この変更通知は上告人には届いたものの、GとEには旧期日までに届かなかった。その結果、旧期日に集まったGとEのみで親族会が開催され、被上告人を相続人に選定する決議がなされた。上告人は、自身が欠席した状態での決議は無効であると主張した。
事件番号: 昭和24(オ)267 / 裁判年月日: 昭和26年8月31日 / 結論: 棄却
一 家督相続人選定のために招集された親族会において、他人を家督相続人に選定する場合における裁判所の許可は、決議をなした後においてこれを得ることを妨げない。 二 家督相続人選定のために招集された親族会が、裁判所の許可を条件として他人を家督相続人に選定する旨を決議したときは、右の決議は無効ではなく、右の決議はその後裁判所の…
あてはめ
本件では、3名の親族会員のうち上告人には期日変更が告知されていたが、他の2名(G、E)には告知されていなかった。このため、GとEは有効な招集があったと信じて旧期日に参集し、決議を行っている。このような招集手続の不備は、構成員全員に対して正当な告知がなされなかったという点で違法であることは否定できない。しかし、決議自体は選定された会員の一部(過半数)によってなされており、形式的に決議の体裁をなしている。したがって、このような手続の瑕疵は、決議を当初から存在しないものとして扱うほどの致命的な瑕疵(当然無効)とはいえず、不服の訴えによってその効力を否定すべき性質のものである。
結論
親族会の決議は当然無効とはならず、上告人の請求は認められない(棄却)。
実務上の射程
行政処分や法人・合議体の決議において、招集手続に瑕疵がある場合の効力を論じる際の枠組みとして参考になる。特に、瑕疵が「当然無効」か「取消事由」かを区別する際、手続の違法が社会通念上決議を無効とするほど重大なものか、あるいは争訟期間の制限等の法的安定性を重視すべき事案かという視点を示唆している。
事件番号: 昭和27(オ)990 / 裁判年月日: 昭和30年1月21日 / 結論: 棄却
法定の推定家督相続人がその相続権を失つた後に懐胎出生した直系卑属は代襲相続をする権利を有しない。
事件番号: 昭和24(オ)70 / 裁判年月日: 昭和25年4月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】親族会員が、家督相続人の選定という決議事項の当事者の内縁の夫であっても、そのことのみをもって当該決議事項につき直接利害関係を有することにはならず、除斥の対象とはならない。 第1 事案の概要:亡Dの家督相続人を選定する親族会において、被上告人が候補者として選定されるかどうかの決議が行われた。この親族…
事件番号: 昭和40(オ)467 / 裁判年月日: 昭和42年4月28日 / 結論: 棄却
新民法施行後は、旧民法によつてされた家督相続人選定親族会決議の無効確認を求める訴の利益はない。
事件番号: 昭和28(オ)805 / 裁判年月日: 昭和30年11月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】戸主による家督相続人の指定は、指定権者にその決意があると認められ、かつ、その旨の届出が市町村長に受理された場合には、その効力を有する。 第1 事案の概要:戸主Dは、死亡前の十数年間にわたりEと事実上の夫婦関係にあった。Dは、Eの実弟である被上告人を自らの家督相続人に指定する決意を有していた。昭和1…