一 選挙の効力に関する訴願裁決書が訴願人に交付される前に、裁決の要旨が告示された場合において、訴願人以外の者が訴を提起するについての出訴期間は、訴願人に裁決書が交付された日から三〇日である。 二 当選の効力に関して異議、訴願を経ていない選挙訴訟において、当選有効の確認を求めることはできない。
一 選挙の効力に関する訴願裁決書が訴願人に交付される前に裁決の要旨が告示された場合訴願人以外の者が訴を提起するについての出訴期間 二 当選の効力に関して異議、訴願を経ていない選挙訴訟において当選有効の確認を求めることの適否
公職選挙法203条,公職選挙法215条,公職選挙法207条
判旨
訴願裁決の効力は裁決書が訴願人に交付されることで生じるため、交付前に裁決要旨が告示されても、出訴期間は裁決書交付により効力が生じた日から起算される。また、公職選挙法上の選挙無効訴訟と当選無効訴訟は峻別され、前置手続を経ていない当選の効力に関する訴えは不適法である。
問題の所在(論点)
1. 裁決書の交付に先立って裁決要旨の告示が行われた場合、出訴期間はいつから起算されるか。2. 選挙の効力(選挙無効)を争う手続の中で、前置手続を経ていない当選の効力(当選無効)の確認を求めることは可能か。
規範
1. 訴願裁決に対する出訴期間の起算点について:裁決は裁決書を訴願人に交付することによって効力を生ずる。したがって、裁決書の交付前に裁決の要旨が告示された場合であっても、裁決の効力が生じない間に告示の日から出訴期間が進行することはない。この場合、訴願人か否かを問わず、裁決書の交付により裁決の効力が生じた日から出訴期間を計算すべきである。 2. 選挙争訟における前置審査について:公職選挙法に基づく当選の効力に関する訴訟を提起するには、同法が定める異議の決定および訴願裁決を経ていることが必要である(審査前置主義)。
重要事実
事件番号: 昭和27(オ)404 / 裁判年月日: 昭和27年12月23日 / 結論: 破棄差戻
当選の効力に関する訴願裁決の要旨の告示が訴願人に対する裁決書交付前に行われた場合においても、訴願人が右裁決に対し訴を提起する場合の出訴期間は、右訴願人が裁決書の交付を受けた日から三〇日以内である。
飽託郡a村長の選挙において、第一次選挙の投票の効力に関連して行われた第二次選挙(決選投票)に関し、選挙の効力について争いが生じた。訴願裁決の要旨が告示されたが、その時点ではまだ訴願人に対して裁決書が交付されていなかった。被上告人は、第二次選挙におけるEの当選が有効であることの確認を求める訴えを提起した。しかし、本件においてEの当選の効力自体については、法が定める異議申立てや訴願の手続が全く行われていなかった。
あてはめ
1. 起算点について:行政処分の効力発生時期に関する一般原則に照らせば、裁決は交付により成立する。本件では告示が先行しているが、裁決の効力が発生していない以上、期間の進行は認められない。したがって、効力発生日を基準に出訴期間を算定すべきであり、本件訴えは適法な期間内に提起されたといえる。 2. 訴えの適法性について:本件の争訟の実質は「選挙の効力」に関するものであるが、被上告人が求めたのは「当選の効力」の確認である。公職選挙法上、両者は別個の争訟手続であり、当選の効力については同法206条に基づく異議・訴願の手続を経ていなければならない。本件ではこの前置手続を欠いているため、当該部分は不適法といわざるを得ない。
結論
1. 出訴期間は裁決書の交付により効力が生じた日から起算され、本件訴えは期間内であり適法。2. 前置手続を経ていない当選の有効確認を求める部分は不適法であり、却下を免れない。
実務上の射程
行政事件訴訟法における処分性や効力発生時期の議論、および公職選挙法特有の出訴期間・不服申立前置の厳格な運用のあり方を示す。特に、手続上の「告示」と「交付」の前後関係が問題となる場合の期間計算の規範として重要である。
事件番号: 昭和29(オ)67 / 裁判年月日: 昭和30年3月24日 / 結論: 棄却
公職選挙法第九〇条(昭和二九年一二月法律第二〇七号による改正前)の「申出の日以後五日に相当する日」とは、申出の日の翌日を起算日としてその後五日に相当する日と解すべきである。
事件番号: 昭和26(オ)420 / 裁判年月日: 昭和26年12月21日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】選挙による公務員の任期が満了した場合には、当選の効力に関する訴願裁決の取消しを求める訴えの利益は消滅する。また、異議申立てがないにもかかわらず、選挙日から長期間経過後に選挙管理委員会が当選無効を決定することは権限を逸脱した無効な処分である。 第1 事案の概要:昭和22年4月の村長選挙において、選挙…
事件番号: 昭和25(オ)136 / 裁判年月日: 昭和26年2月20日 / 結論: 棄却
当選人決定告示の後繰上補充があつても、当初の当選の効力に関する訴訟の判決にあたり、その事実を考慮すべきではない。
事件番号: 昭和27(オ)914 / 裁判年月日: 昭和28年2月17日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】選挙無効の訴えを提起するには、公職選挙法の規定に基づき、適法な異議の申立て及び審査の申立てを経ることを要する。前置手続を欠く選挙無効の請求は不適法であり、裁判所は当選訴訟として主張された原因のみを審査すれば足りる。 第1 事案の概要:上告人は、本件選挙について選挙無効及び当選無効を主張して訴えを提…