当選の効力に関する訴願裁決の要旨の告示が訴願人に対する裁決書交付前に行われた場合においても、訴願人が右裁決に対し訴を提起する場合の出訴期間は、右訴願人が裁決書の交付を受けた日から三〇日以内である。
当選の効力に関する訴願裁決の要旨の告示が訴願人に対する裁決書交付前に行われた場合に訴願人が提起するについての出訴期間
公職選挙法207条1項
判旨
公職選挙法上の訴願裁決に対する出訴期間は、裁決書が訴願人に交付されて効力を生じた時から進行し、たとえ先行して告示がなされても交付の日から起算すべきである。
問題の所在(論点)
公職選挙法207条1項の訴願裁決に対する不服申立において、裁決書の交付が告示より後になった場合、出訴期間(30日)の起算点は告示日と交付日のいずれか。
規範
行政処分の効力は相手方に到達した時に発生するという原則に基づき、公職選挙法207条1項の訴願裁決は訴願人が裁決書の交付を受けることで効力を生じる。したがって、同条に定める30日の出訴期間は、裁決が効力を生じない限り進行を始めない。条文上の「告示の日から」との規定は、交付が告示に先行する通例を前提としたものであり、交付前に告示がなされた場合でも、出訴期間は交付の日から起算されると解すべきである。
重要事実
上告人は公職選挙法207条に基づく訴願を提起したが、棄却裁決を受けた。この裁決に関して、同法215条の規定による告示がなされたが、上告人に対する裁決書の交付は当該告示の後になされた。原審は、出訴期間の起算点を「告示の日」とし、本件訴えを出訴期間経過後の不適法なものとして却下した。
事件番号: 昭和23(オ)86 / 裁判年月日: 昭和23年12月14日 / 結論: 棄却
上告人は本件訴願の申立人ではなく第三者であるから、地方自治法第六六條第三項によつて裁決書の交付を受けるべきものではない。從つて上告人が裁決に不服があるときは、同條第四項によつてその裁決の告示の日から三〇日以内に出訴しなければならない。
あてはめ
本件上告人は訴願人本人であり、裁決の当事者である。行政処分の性質上、裁決の効力は裁決書が交付された時に発生するものであるから、未だ効力が発生していない告示時点から出訴期間をカウントすることは許されない。本件では、告示が先行したとしても、上告人が現実に裁決書の交付を受けた日を確定し、その日から30日以内であれば適法な出訴と評価されるべきである。
結論
出訴期間は裁決書の交付を受けた日から進行する。原審が交付日を確定せず、告示の日から計算して訴えを却下したのは違法であり、破棄差戻しを免れない。
実務上の射程
行政事件における出訴期間の起算点について、条文上「告示」が基準とされていても、処分の効力発生(到達)を重視して柔軟に解釈する判例として重要である。公職選挙法関連の争訟だけでなく、告知と処分の効力発生時期がずれる場合の一般論としても参照し得る。
事件番号: 昭和27(オ)95 / 裁判年月日: 昭和28年2月3日 / 結論: その他
一 選挙の効力に関する訴願裁決書が訴願人に交付される前に、裁決の要旨が告示された場合において、訴願人以外の者が訴を提起するについての出訴期間は、訴願人に裁決書が交付された日から三〇日である。 二 当選の効力に関して異議、訴願を経ていない選挙訴訟において、当選有効の確認を求めることはできない。
事件番号: 昭和28(オ)896 / 裁判年月日: 昭和30年2月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】長年にわたり郵便物の受領を異議なく他者に委ねていた等の事情がある場合、当該他者への郵便物の配達をもって、本人に対する交付があったものと認めるのが相当である。 第1 事案の概要:上告人の住所は集落から離れた不便な場所にあり、昭和12年頃の移住以来、上告人宛の郵便物は書留や速達を含め、すべて集落内のD…
事件番号: 昭和27(オ)247 / 裁判年月日: 昭和30年2月17日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】公職選挙法209条の2に基づき、帰属不明の潜在無効投票がある場合には、各候補者の得票数から当該無効投票数を各候補者の得票数に応じて按分し、それぞれ差し引いて有効投票数を算出すべきである。 第1 事案の概要:町村議会議員選挙において、選挙権を有しない者による無効投票が17票存在し、それらが有効投票に…
事件番号: 昭和27(オ)377 / 裁判年月日: 昭和27年10月31日 / 結論: 棄却
公務員が退職しないまま立候補の届をし、立候補届出期間内に退職の効果を生じた場合は、退職により候補者たる適格を有するに至つたときから、右立候補届の効力が生ずるものと解するのを相当とする。