上告人は本件訴願の申立人ではなく第三者であるから、地方自治法第六六條第三項によつて裁決書の交付を受けるべきものではない。從つて上告人が裁決に不服があるときは、同條第四項によつてその裁決の告示の日から三〇日以内に出訴しなければならない。
選舉に關する訴願申立人でない者の訴願裁判に對する出訴期間
地方自治法66條4項
判旨
選挙の当選無効裁決に対する出訴期間の起算点について、訴願の申立人以外の第三者は、裁決書の交付を受けるべき立場にないため、裁決の告示の日から起算される。選挙長による当選取消告知書の交付日は、地方自治法上の決定書または裁決書の交付には当たらず、起算点とはならない。
問題の所在(論点)
訴願の申立人以外の第三者にとっての出訴期間の起算点はいつか。また、権限のない選挙長による当選取消告知書の交付を、法定の決定書・裁決書の交付と同視できるか。
規範
地方自治法66条4項(当時)にいう出訴期間の起算点は、裁決書の交付を受けるべき申立人についてはその交付の日であるが、それ以外の第三者については、裁決書の交付を受けるべき者ではないため、裁決の告示の日となる。また、権限のない機関による通知等は、同条にいう決定書または裁決書の交付には該当しない。
重要事実
上告人の当選を無効とする被告の裁決がなされた後、選挙長が上告人に対して当選取消告知書を交付した。上告人は、当該告知書が地方自治法にいう「決定書又は裁決書」に該当し、その交付の日が出訴期間の起算日になると主張して、裁決の告示日から30日を経過した後に提訴した。なお、上告人は本件訴願の申立人ではなく、利害関係を有する第三者の立場であった。
事件番号: 昭和27(オ)404 / 裁判年月日: 昭和27年12月23日 / 結論: 破棄差戻
当選の効力に関する訴願裁決の要旨の告示が訴願人に対する裁決書交付前に行われた場合においても、訴願人が右裁決に対し訴を提起する場合の出訴期間は、右訴願人が裁決書の交付を受けた日から三〇日以内である。
あてはめ
まず、上告人は訴願の申立人ではなく第三者であるため、法的に裁決書の交付を受けるべき立場にない。したがって、出訴期間は原則通り裁決の告示日から起算される。次に、当選の効力を失わせるのは裁決や判決によるものであり、選挙会には当選を取り消す権限がない。権限のない選挙長が送付した「当選取消告知書」は、法的に意味のある決定書や裁決書には該当せず、その交付を起算点とすることはできない。申立人は交付日、第三者は告示日を起算点とすることは、法が予定する合理的な区別であり、不公平ではない。
結論
上告人(第三者)の出訴期間は裁決の告示日から起算されるため、告知書の交付日を基準とする上告人の主張は認められず、本件訴えは出訴期間を徒過したものとして棄却される。
実務上の射程
行政事件における出訴期間の起算点に関する基本的な判断枠組み。処分や裁決の「直接の相手方(申立人)」と「第三者」で起算点が異なることを明示しており、処分適法性争訟における被告側の出訴期間徒過の抗弁として活用できる。また、観念の通知にすぎない行為や権限外の行為は、期間制限の起算点となる法的行為には当たらないという点も重要である。
事件番号: 昭和28(オ)896 / 裁判年月日: 昭和30年2月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】長年にわたり郵便物の受領を異議なく他者に委ねていた等の事情がある場合、当該他者への郵便物の配達をもって、本人に対する交付があったものと認めるのが相当である。 第1 事案の概要:上告人の住所は集落から離れた不便な場所にあり、昭和12年頃の移住以来、上告人宛の郵便物は書留や速達を含め、すべて集落内のD…
事件番号: 昭和27(オ)913 / 裁判年月日: 昭和28年3月26日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】帰属不明の潜在無効投票がある場合、各候補者の有効投票数の計算は、公職選挙法209条の2に基づき、各候補者の得票数に応じて当該無効投票数を按分して差し引くべきである。 第1 事案の概要:昭和26年の町議会議員選挙において、上告人Aは96票で当選し、訴外Eは95票で次点落選した。Eが当選無効を求めて提…
事件番号: 昭和27(オ)95 / 裁判年月日: 昭和28年2月3日 / 結論: その他
一 選挙の効力に関する訴願裁決書が訴願人に交付される前に、裁決の要旨が告示された場合において、訴願人以外の者が訴を提起するについての出訴期間は、訴願人に裁決書が交付された日から三〇日である。 二 当選の効力に関して異議、訴願を経ていない選挙訴訟において、当選有効の確認を求めることはできない。